フジロック通信’08 〜若きキャンプ・ブルジョワジー編〜


高速をひた走り、我々は金曜の早朝に苗場に到着した。会場近くの民宿の駐車場に車を止め、昨夜ホームセンターで購入したばかりのキャリーカートに「余裕!余裕!」と荷物を移す。歩道の段差で荷物を根こそぎ、ずるりと落としながらも、意気揚々と会場へ向かっていた。

長い列に並び紙のチケットをリストバンドと交換する。フェスティバルではお馴染みのリストバンドは手首のサイズにあわせホックを止める形式で、一度ホックを閉じてしまうとつけ直すことができない。毎度のことながらちょっとした緊張の瞬間である。

やっとキャンプサイトにたどり着いた時には夜が明けかかっていた。
我々はまず、友人氏がテントを張っているというDエリアを目指した。Dエリアはキャンプサイトの入り口からは結構遠いけれど、ここにはまだ平地が残されていた。

C氏はバサッとテントを広げ、あっという間にテントを完成させた。テントの中にもぐりこんで身体を横たえ、念願の平地にテントを張ることができた満足感に満たされる我々。
しばし睡眠をとるも、日が昇れば暑さですぐに目が覚めてしまう。7時を過ぎればテントの中は蒸し風呂状態となり、外に出ずにはいられない。しかし、木陰の無いこのあたりで一歩外に出れば容赦なくじりじりと太陽が照りつけてくる。前回の「斜面」に次いで、我々は日向を楽観しすぎていたのだ!

C氏が中古で買った1,600円の至極シンプルなテントは、低温サウナのようである。見れば、周りにはひさしつきのテントが多かった。日陰をテント自らが生成するとは、なんて素晴らしいことか。日が昇ると、テントから抜け出てひさしの下に寝転がっている人も多かった。

つむじまで完全に日焼けしそうな直射日光の中、我々は、背後に見える丘を目指すことにした。丘の斜面に樹木が植わっていて、涼しそうな木陰が見えた。
樹木の木陰はなんて涼しいんだろう!我々は感激のあまり目を閉じ、「寒い!寒いよー!」と日陰を存分に満喫した。


丘のふもとには若者の集団が所有するタープ(日差しを避けるための屋根)が張られていた。4脚のイスが配置され、テーブルには灰皿やコロナビールが置かれている。屋根を支えるポールには色鮮やかな旗がくくりつけられ、それが風になびいていた。
それはまるでオープンカフェのような完成度だった。ほどなくすると周りに張られたテントから、ぽつぽつと若者が出てきて、机上のスピーカーから音楽が聴こえてきた。

若きキャンプ・ブルジョワジー達の余裕の談笑を目撃しながら、テントから持ってきたクラッカーをかじった。
滑り落ちないように樹木の幹に足をかける。視界は薄い水色の空と、濃い色をした樹木の葉に覆われている。この景色の中居眠りができるなんて、なんて素晴らしいんだろうと目をつぶる。

翌朝も、ずるずると寝袋を引きずり、寝ぼけ眼で丘を目指した。芝生の匂いを嗅ぎながら心地良い風に吹かれ居眠りをする。うっすらと目を開けて、時折ブルジョワジーの暮らしを眺めた。

平地を確保したら、次は日陰だ。日陰を見極めるには太陽の出ているうちに場所を決めなくてはならない。斜面だけではない。ここでは直射日光を制してこそ、本当のキャンプ・ブルジョワジーになれるのだ。


本日の1曲
Good morning / SPECIAL OTHERS


>>関連エントリー >>
フジロック通信’08FUJI ROCK FESTIVAL 2008参戦記)
2008/08/16 『フジロック通信’08 ~雷雨のち、エストロゲン編~(3日目行動記録)
2008/08/15 『フジロック通信’08 ~お食事処フジロック編~
2008/08/11 『フジロック通信’08 ~ゴンドラは白昼夢行き編~
2008/08/07 『フジロック通信’08 ~僕らのジェネレーション・スケール編~(2日目行動記録)
2008/08/03 『フジロック通信’08 ~寝ちゃいけなかった夜、編~(1日目行動記録)
2008/08/02 『フジロック通信’08 ~若きキャンプ・ブルジョワジー編~
2008/07/19 『フジロック通信’08 ~カネも有給休暇も今こそ!編~

FUJI ROCK道(FUJI ROCK FESTIVAL 2006参戦記)
2006/08/07 『FUJIROCK道 ~グッバイ・サンキュー!編~
2006/08/06 『Red Hot Chili Peppers @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/08/05 『FUJIROCK道 ~0時を過ぎても!編~
2006/08/04 『FUJIROCK道 ~滑降覚悟のテントライフ編~
2006/08/03 『FUJIROCK道 ~騒いでも騒がなくてもハングリー編~
2006/08/03 『ASIAN KUNG-FU GENERATION @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/08/02 『FUJIROCK道 ~魅惑のエンバイロメント編~
2006/08/01 『ストレイテナー @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/07/31 『FUJIROCK道 ~ハロー苗場!高速移動編~』 
2006/07/27 『FUJIROCK道 ~出発直前!いざ苗場編~』 
2006/07/10 『FUJIROCK道 ~ライブのお供にゃクエン酸編~
2006/06/08 『FUJIROCK道 ~夏嫌いインドア人間の決意編~
2006/06/04 『FUJIROCK道 ~冷静を装う週末編~
2006/02/28 『FUJI ROCKのOMOIDE


続けて読みたいエントリーたち

6 Responses to “フジロック通信’08 〜若きキャンプ・ブルジョワジー編〜”


  1. 1サtoミ

    こんにちは~~

    今年はちょっと(いや、かなり)上の、
    木の下に張ったんですが、
    これが快適でした。(蟻がすごい入ってくる以外は)
    快適すぎて、寝過ぎました・・・。
    JASON MRAZが、いいお昼寝ソングでした。

  2. 2taso

    >サtoミさん
    キャンプ生活、お互いお疲れ様でした(笑)
    テントは、キャンプサイトの出入り口に近い方が便利ですけど、いい場所はすぐになくなってしまいますよねー。

    色々とポイントはありますが、フジロックに3日間参戦するなら、ゆっくり寝られる環境が最優先かもしれません・・・。睡眠でしっかり疲れを取らなきゃ体がもたないです!
    体力が続かなくて観たいアクトを諦める、ってのは結構むなしいもんです(苦笑)

  3. 3ちんみん

    たしかに、
    けっこう、体力がいるイベントだよね。
    来年に向けて、企画倒れで終わっている
    自転車部を始動させようか!!

  4. 4taso

    >ちんみんさん
    今年の君はかなりアクティブだったよね!
    ライブの時、幾度となくモッシュに巻き込まれていったと人づてに聞きました。ひとしきりモッシュに揉まれた後、必ず元いた位置に戻ってくると。さすがだね(笑)
    そして今更ながら、会場にお休み処を作ったのは正解だったと思うよ!

    長い距離は走っていないけど、先週末に自転車に乗りました。
    やっぱり気持ちいい!
    今度、どこを目指して走りましょうか??

  5. 5サtoミ

    ただ、せっかくお風呂でさっぱりしても、
    道中が長い&暑いので、
    テント戻る頃には汗だくです・・・
    で、疲れて一眠りが気付けば午後、
    なわけです(笑
    まぁ、それもそれでフジロック。
    何があったって楽しいのです。

  6. 6taso

    >サtoミさん
    確かに!
    でも、お風呂に入った後の汗だくは違うはず、と信じて律儀に風呂に入り続けました(笑)
    お風呂の後、テントに戻って落ち着いてしまうとだめですねー。疲れている時はなかなか外に出て行けなくなります。
    今回に限らず、そんな調子で見逃したお楽しみのアクトがいくつか・・・。

    まぁ、それもそれでフジロック!なんですけどね!

Leave a Reply