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フジロック通信’08 〜雷雨のち、エストロゲン編〜(3日目行動記録)

3日目の朝、起きてからテントを片付け、片道30分はかかる駐車場まで炎天下の歩道を歩く。腕に塩が浮き出るという中学校の部活以来の快挙を成し遂げる。なだれ込むように車に乗り込み、自販機で買った冷たい麦茶をあっという間に飲み干す。我々は、エアコンの素晴らしさについて今更熱く語らったあと、意気揚々と会場に戻った。

今年はドラゴンドラで行ったたしろ高原の頂上で激しい雷雨を経験した。(フジロック通信’08 〜ゴンドラは白昼夢行き編〜)恐る恐る会場に戻ると、案の定地面は思いっきりぬかるんでいる。降り続く雨の中、omo氏と落ち合う。久々の再開にウキウキが加速する。一方、雨もどんどん激しさを増していく。

近年では、フジロックの準備の一環として雨具に重きを置く人が多いみたいだ。日本の夏にフェスティバルが定着したおかげで、アウトドア市場は随分潤っていると思う。晴天の会場でHUNTERやAIGLEなどの、お洒落なレインブーツを履いている人を見かけたが、3日目にしてようやく本領発揮である。上等なゴアテックス(Gore-Tex)のレインウェアを身にまとったomo氏もなんだかお洒落だ。そう、フジロッカーは雨なのにお洒落なのだ。

自分のファッションといえば、上からゴミ袋、Gパン、泥だらけのコンバースという有り様だった。あろうことか雨具や上着を全て車に置いてきてしまったのだ。これではひとり天神山ではないか!
omo氏はそんな悲惨な姿を心配しながら『まったく学習してないね・・・!』と困り顔で笑う。確かに出発前のエントリーでは偉そうにわかったようなことを書いた気がする。しかし浮き足立って雨具の存在をすっかり忘れるとは、まったく学習できていない! 雷鳴轟き数々の悲鳴があがる中、我々は愉快に笑った。

一段と激しくなる雨を避け、屋根のある苗場食堂に避難するも、すだれからも激しい雨が容赦なく店内に吹き込んでくる。これはまるで嵐である。

そんな状況でもライブは時間通りに敢行されているみたいだった。定刻丁度にGREEN STAGEのELLEGARDENに向かい、ステージ全体が見渡せる岡の上に立つ。ステージからは随分距離が離れているものの、回りの人々は手を上げジャンプし演奏に応えていた。ELLEGARDENは後方まで興奮を届けられるバンドになったのだ。
人気絶頂の中、彼らは活動休止を発表した。もうしばらくはライブを見ることができないだろう。大勢がそんな気持ちでステージを見つめていたのかもしれない。

OASISで休息を取ったあと、C氏と共にトイレに向かう。GREEN STAGEではThe Birthdayが演奏中で、その硬派なステージに予定を変更して観入ってしまう。
vo.チバ氏が『またカミナリ落ちちゃうかもよ?』と言い放った後の「KAMINARI TODAY」は圧巻だった。歌詞にずるずると引き込まれ、思わず口が開きっぱなしになる格好良さ。さすが、喋れば喋るほど人々を痺れさせる男である。

The Birthday終演後、CSSがライブ中のRED MARQUEEに移動する。収容人数5000人の巨大な赤テントに人々が押し掛け、前方に移動するのは容易ではなさそうだ。
CSSはMySpaceから一躍有名バンドになったブラジル出身のバンド。vo.Lovefoxxxは昨日のPRIMAL SCREAMのライブにもゲスト出演していた。万人受けを狙わない音作りをしながら、これだけの観客を集めるとは今のCSSの勢いはすごいものがある。

最早全身ずぶ濡れ、最後に苗場食堂を覗き見て会場を出ることにした。毎回のことながら、ゲートをくぐるときはなんとも寂しくなる。
The Birthdayのライブで『エストロゲンが出た!』というC氏、場外の岩盤ショップでアルバムを買い、それを聴きながら東京に向かう。

1997年に初開催されてから、フジロックは世界に誇れるフェスティバルであり続けている。そして自然が相手であるからこそ、参加する度に楽しみ方が増えていくフェス、とも言える。
開催当初は、それまでになかったイベント形態や海外アーティストを中心としたラインナップが注目された。でも今では、このフェスティバルのスピリットを慕う出演者と来場者たちの高い意識がフジロックを作っているのだと思う。

実は初日から『あと3日間しかないよ・・・』と溜息をついていた気の早すぎる我々であったのだが、いよいよ今年のフジロックが終わってしまった。日本には、こんなに早く終わる夏の3日間があるのだ。

本日の1曲
KAMINARI TODAY / The Birthday

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■フジロック通信’08(FUJI ROCK FESTIVAL 2008参戦記)
2008/08/15 『フジロック通信’08 〜お食事処フジロック編〜』
2008/08/11 『フジロック通信’08 〜ゴンドラは白昼夢行き編〜 』
2008/08/07 『フジロック通信’08 〜僕らのジェネレーション・スケール編〜(2日目行動記録)』
2008/08/03 『フジロック通信’08 〜寝ちゃいけなかった夜、編〜(1日目行動記録)』
2008/08/02 『フジロック通信’08 〜若きキャンプ・ブルジョワジー編〜』
2008/07/19 『フジロック通信’08 〜カネも有給休暇も今こそ!編〜』

■FUJI ROCK道(FUJI ROCK FESTIVAL 2006参戦記)
2006/08/07 『FUJIROCK道 〜グッバイ・サンキュー!編〜』
2006/08/06 『Red Hot Chili Peppers @FUJI ROCK FESTIVAL2006』
2006/08/05 『FUJIROCK道 〜0時を過ぎても!編〜』
2006/08/04 『FUJIROCK道 〜滑降覚悟のテントライフ編〜』
2006/08/03 『FUJIROCK道 〜騒いでも騒がなくてもハングリー編〜』
2006/08/03 『ASIAN KUNG-FU GENERATION @FUJI ROCK FESTIVAL2006』
2006/08/02 『FUJIROCK道 〜魅惑のエンバイロメント編〜』
2006/08/01 『ストレイテナー @FUJI ROCK FESTIVAL2006』
2006/07/31 『FUJIROCK道 〜ハロー苗場!高速移動編〜』 
2006/07/27 『FUJIROCK道 〜出発直前!いざ苗場編〜』 
2006/07/10 『FUJIROCK道 〜ライブのお供にゃクエン酸編〜』
2006/06/08 『FUJIROCK道 〜夏嫌いインドア人間の決意編〜』
2006/06/04 『FUJIROCK道 〜冷静を装う週末編〜』
2006/02/28 『FUJI ROCKのOMOIDE』

フジロック通信’08 〜お食事処フジロック編〜

01 まずはかき氷で体を冷ましながら会場へ。コーラかき氷 ¥300/プリンスホテル。02 トッピングのカットマンゴーがやみつき。マンゴーかき氷 ¥400/サワディー。03 目が覚める美味さであっという間に完食。ベーコンエッグベーグル ¥500/BAGEL&BAGEL。04 今年の飯モノ一位はこれ!バジル炒め ¥800/ジャスミンタイ。

1日に4万人が来場するフジロック。会場の各エリアには沢山の屋台が出店する。ステージを移動する合間に立ち食いで手早くかっこんだり、ライブを観ながらゆっくり食べたり。屋外で食べるおいしい料理もフジロックの大きな魅力なのだ。

初日昼、会場に入って初めて食べたのはマンゴーかき氷。フェスではお馴染みのタイ料理店、サワディーが今年も出店している。見つけるやいなや駆け寄って列に並ぶ。タイ人の青年が氷をかき、カットマンゴーに練乳をかけてくれる。心の中で「more!more!」と煽りながら凝視する。

2日目、苗場プリンスホテルの出店舗でコーラかき氷なるものを発見した。初めてのコーラ味はハマる美味さで、市販されていたら毎日食べたいくらいである。キャンプサイトの入り口で売っているので、一日の行動を開始する前のクールダウンに最適。スプーンの代わりに割り箸が突き刺さるロックな一品。

苗場の夏の平均気温は25度だそうだ。連日熱帯夜が続く東京に比べれば夜は格段に快適だが、昼間はやはり暑い。クーラーの効いている施設もなく、かき氷でクールダウンしながらでないとしのげない暑さだった。かき氷は暑くて身体が動かないときの救世主である。

3日目の豪雨の最中、苗場食堂に入店。フジロッカーにはお馴染みの人気店で、豚汁や焼き魚を安価で提供してくれる良心的なお店。いつも混んでいて、なかなか座敷に座ることができないが、雑木林に突き出たステージではライブも行われるというフジロックの名物スポットである。

最大のフードエリアOASISは、目移りするような豊富なメニューが迎えてくれる。食べるものがなかなか決まらずぐるぐる徘徊してしまうくらいだ。
そのOASIS奥にあるワールドレストランは、イギリスのフィッシュ&チップス、フランスのキッシュ、スペインのパエリアなど、各国の代表的なメニューが揃った屋台エリア。木陰のパラソルには外国人氏の姿も多い。

出店している屋台のほとんどは実在の店舗からの出張である。ランチタイムはいつも混雑しているサワディー(渋谷)や、エチオピア料理の人気店、クイーンシーバ(中目黒)など、各地の厨房からフジロック部隊がやってくるのだ。
六本木に本店があるというジャスミンタイのバジル炒めを2日連続で食す。ピリ辛の粗びき鶏肉が盛られたご飯は空腹に染みるうまさだった!

2日目の朝、涼しい丘での二度寝からテントに戻ると、C氏はニコニコとベーグルを差し出した。都内ではお馴染みのBAGEL&BAGELがフジロックで出店しているのだ。

涼しい丘に引き返し、C氏の優しさを感じながらベーグルを頬張る。炭の芳ばしい香りがするベーグルは想像以上に美味しかった! 山の緑とカラフルなテント、遠くで聴こえるマイクチェックワンツー、with そよ風。胸踊るシチュエーションに幸せな気分になる。

会場内のペットボトル飲料の価格は200円、食事は500〜800円と言ったところ。ちなみに今回食べた一番高額なメニューは、ドラゴンドラで行ったたしろ高原の「アルム」で食べたカレーライス1,200円。(至極普通のカレーだが、山の頂上まで食材を運ぶことを思えば納得の価格である)

ところでフジロックはリサイクルも徹底している。場内のごみ捨て場にはスタッフが立っていて分別をレクチャーする。紙皿はつぶして捨て、ペットボトルはラベルを剥がす。お目当てのライブへと急いでいても、食べた後はキチンと分別しなくてはいけない。

3日間に出るごみの量を考えればリサイクルも大規模である。昨年回収したペットボトルと紙コップは、それぞれ今年のゴミ袋とトイレットペーパーにリサイクルされたらしい。普段リサイクルに関心がないフジロッカーをその気にさせる、お見事!な演出である。

本日の1曲
飴色の部屋 / くるり

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フジロック通信’08 〜ゴンドラは白昼夢行き編〜

夏の苗場スキー場で行われるFUJI ROCK FESTIVAL。ウインタースポーツに縁のないフジロッカーには、雪に覆われる会場が想像できないという逆転現象が起こる。
苗場・かぐらと2つのスキー場を結ぶドラゴンドラは、実は真冬以外にも運行している。フジロックの開催期間中は、終点のたしろ高原にDAY DREAMING and SILENT BREEZEと呼ばれるエリアが出現し、小規模なライブやDJアクトが催されているのだ。

一度は乗ってみたいと思っていたものの、運行時間に制限もあり(復路最終16:00発)、ただでさえ観たいアクトが重なっているため時間を見つけられず、過去2回の参戦時にも搭乗を見送ってきたのだった。

同じくドラゴンドラ未経験のC氏と、今年は3日目の昼にドラゴンドラに乗ろうと計画を立てた。我々は朝のうちにテントを片付け、車に荷物を積み込んだあと再び会場に戻り、乗り場に直行した。
RED MARQUEEの脇で1000円の乗車券を購入し、急斜面を登り乗り場に到着。C氏と自分のほか、青年ひとりとフランス人カップルの計5人でゴンドラに同乗することになった。

激しい加速でゴンドラが滑り出し、みるみるうちに空中に放り出される我々。まるで遊園地のアトラクションに乗っている感覚だ。しばらくするとグリーンステージで演奏中のJASON MRAZの歌声が聴こえてきた。ドラゴンドラ搭乗のため諦めたライブであるが、こっちはこっちで結構スリリングな展開である。

ゴォォォゴトゴトッ!と高速でアップダウンを繰り返し、とんでもない高さをびゅんびゅんひた走るドラゴンドラ。深い谷に向かって急降下する時は、同乗したフランス人カップルと顔を見合わせる。言葉の壁を越えそうになる。

復路のゴンドラに乗っている人々は、すれ違いざまに手を降ってくれる。恐怖に顔をひきつらせながらこちらも手を降り返す。ひとりで乗ってきた青年氏もニコニコと手を降っていた。帰り道に他人に手を振りたくなる場所とは、どんなところなんだろう? 期待が高まった。

恐る恐る覗き見た下方には渓流が流れていた。人間が介入していない自然の威力みたいなものを静かに感じる絶景である。植物には植物たちのやり方があるのだ。そんな自然の繁茂をしばし凝視した。

体感傾斜45度以上はある最後の急斜面をガガガッ!と登りきると、たしろ高原に到着した。出発から約20分、標高1345メートルの頂上である。

高原に初めて降り立った我々は、思わず感嘆の声を上げる。見渡す限り黄緑色の芝が広がり、雲がかった空が近い。途切れることなく続くパーティーミュージックに合わせ、真っ昼間のレイバーは恍惚とした表情で体を揺らしていた。まさにデイドリーミングだ!

しばらくして、JAKOB DYLAN OF THE WALLFLOWERSを観に下山するC氏と別れ、芝に仰向けに寝転がる。地上と違って、芝がフレッシュで軟らかい気がした。何にも遮られない視界のなんと素晴らしいことか。一年に一度あるかないかの休息を得た気がした。

辺りに『ニージュシ!ニージュゴ!』と回数をカウントする声を響かせ、高原の一角で30人ほどが縄跳びをしていた。誰かが縄に引っ掛かっても、セーフセーフ! 大丈夫!!と笑顔で声を掛け合っている。地上のステージではお目にかかれないスポーティーでサワヤカな風景をライオン氏もリラックスポーズで見守っている。

高原の唯一の施設であるレストランに入り、食堂の列に並んでいると、突然雨が降りだした。雨は急激に勢いを増し、目の前の若者が「バケツを引っくり返したみたいだな!」と叫んだ。屋外にいた大勢の人々が悲鳴をあげながらレストランに駆け寄ってくる。ステージの出演者たちも続々と撤収してきた。

窓際の席に座って、モグモグとカレーライスを食べながら、雷鳴が轟くどしゃ降りの外を眺める。(ふもとの会場は大変なことになってるだろうなぁ。)と思う。
ゆっくり休憩した後、音楽が止み人も少なくなった外に出た。雷雨に見舞われはしたけれど、約3時間の高原滞在を満喫して帰りのゴンドラに乗り込んだ。

本日の1曲
Live High / Jason Mraz

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フジロック通信’08 〜僕らのジェネレーション・スケール編〜(2日目行動記録)

入場ゲートに近付くと、ステージから吉野氏の歌声が聴こえてくる。フジロック2日目、GREEN STAGEのトップバッターはeastern youthである。
熱い歌声が聴こえれば、歩む足が次第に早くなる。ステージ左側のモニター前までやってきた。一言一句を噛み締めるように歌う表情が大写しになれば、こちらも何かを脱ぎ捨て言葉と向かい合いたくなる。

夜の会場ではお酒を楽しんでいるという吉野氏。過去には真夜中の苗場食堂で泥酔する吉野氏と遭遇したこともある。MCでは『(いつも大混雑の)苗場食堂はまるでイス取りゲームだなぁ?』と楽しそうに笑う。昨夜の苗場食堂では、若者2人が席を譲ってくれたそうだ。フロントエリアにいたその2人と、ステージ上の吉野氏とのやりとりに場も和む。(写真:fujirock express)

ライブ後に友人達と落ち合い、WHITE STAGEのASPARAGUSへ向かう。地面は砂、直射日光が照りつけるWHITE STAGEは結構過酷な場所なのだ。vo.渡邊氏は、かつてバックバンドのメンバーとしてフジロックに出演したあと、今度は自分のバンドでフジロックに出たいと思っていたらしい。友達に話しかけるような口調のMCを歓声と笑い声、そして祝福の拍手が包んだ。

その後、Gypsy Avalonで友人達と別れ、WHITE STAGE前のボードウォークからGREEN STAGEに向かうことにした。
会場マップでは遠回りに見えるこのボードウォークも、大小の石がごろつく山道を歩くよりは足への負担がずっと少ない。

ボードウォークを歩いていると、時々川の水に足を浸している人や水遊びをしている人が見える。どんなに疲れた状態でも森の中をテクテクと歩くのは心地いい。板に描かれたメッセージを読みながら歩くのも楽しい。
思いがけず道草をくったせいで、GREEN STAGEに到着すると既にHARD-FIのライブが終わろうとしていた。

その後始まったASIAN DUB FOUNDATIONの最中、オアシスエリアを徘徊していると “Fortress Europe”(YouTube)が聴こえてきた。一段と大きい歓声を聴きながら、心の中で「twenty twenty two!!」と叫ぶ。

ザ・クロマニヨンズが登場する時間になると、GREEN STAGE後方のお休み処に友人達が戻ってきた。同僚のフジロック・マイスターS女史と2日目にしてめでたく合流し、場にそぐわない仕事の話をしてしまう。

ほどなくPRIMAL SCREAMのライブが始まる。PRIMAL SCREAMは忌野清志郎氏の健康上の理由によりやむなくキャンセルとなってしまった「忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 仲井戸“CHABO”麗市」の代役で3日目のヘッドライナーもつとめることになっている。
PRIMAL SCREAMがヘッドライナーに格上げされたことについては賛否両論あると思うけれど、ライブを観れば世界的なバンドの凄みのようなものがよくわかる。

ところで3日間のうち、ほとんど携帯電話が機能していなかった。久々に会う友人氏もフジロックに来ているはずだし、高円寺に残された愛猫ハク氏が留守番人とうまくやっているかも気になるところ。
電波も通じず、アンテナが立っても回線が混み合い通話もメールもままならない。果てには充電が切れ(電池式の充電器も買い忘れ)、maxellブースの携帯充電サービスの長い列に並ぶ始末。携帯が使えないことでちょっと苦心した今回のフジロックであった。

UNDERWORLD開演直前、GREEN STAGEのPAブース左側で待機する。しかしここでは “肝心の” モニターを見ることができない。UNDERWORLDのライブなら、音を聴くだけではなく、映像だってちゃんと観たい。後方からも押し寄せる人々をかきわけて、丘の上に戻ることにした。

ライブ終盤には皆が待っていた “Born Slippy Nuxx”(YouTube) 。浪人していた19歳の頃から今に至るまで再生回数が多い曲。もはや、何歳でこの曲を聴いたかで相手のジェネレーションを判断してしまう自分。

巨大な風船が何十も頭上を行き交う演出は、まるで自分がインスタレーション・アートの一部になったかのような感覚がした。音楽を聴くというよりは、ギャラリーに迷い込んだ感覚に近い。そんなUNDERWORLDらしいライブの余韻がいつまでも続く夜だった。(写真:fujirock express)

さて。昨夜のリベンジよろしく、今夜は夜中の場内を散策することにした。クラブと化した深夜のRED MARQUEEや、CSSがDJで登場したGANBAN SQUAREを眺めながら場内を渡り歩いていると、ワールドレストランの入り口で地べたに座るS女史と遭遇。「さっき友達になった」という兄弟2人と楽しそうに話し込んでいる。

深夜2時。苗場温泉の長い行列に寝ながら並ぶこと小一時間、風呂から出るとすでに空が白んでいた。いよいよ残すは明日のみ。テントに潜り込んで少ない睡眠をとった。

本日の1曲
Born Slippy (Nuxx) / Underworld

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フジロック通信’08 〜寝ちゃいけなかった夜、編〜(1日目行動記録)

入場ゲートをくぐり、2年振りにフジロックの会場に足を踏み入れる。顔をほころばせながら会場を練り歩く我々。WHITE STAGEではRYUKYUDISKOの真っ最中で、炎天下のグラウンドはさながら祭りのような趣があった。

かき氷で涼をとったあと、FIELD OF HEAVENに出向き、INO hidefumi LIVE SETを観る。四方に森が迫り、森の中にポッカリできた空間に佇んでいるような気分になる。

Gypsy Avalonからの坂を下ると再びWHITE STAGEが見えてきた。まだ昼を過ぎたばかりだというのに、大勢の人々がステージを見つめている。ステージではグランドピアノセットの原田郁子が演奏中だった。

今年はGREEN STAGEの後方の木陰にシートを敷き、そこを拠点にしていた。そこからはステージ脇の巨大モニターがかろうじて見える程度だったけれど、トイレやオアシス(フードエリア)も近く、お休み処として大活躍だった。

シートに寝転がりながらくるりを聴く。「東京」「ワンダーフォーゲル」「バラの花」。どれも大学生時代によく聴いた曲だった。

一旦テントに戻り、夕方からBLOC PARTYを見る。昨年のSUMMER SONICに続き、フジロックに初登場した。アルバムSilent Alarmの1曲目を飾る「Like Eating Glass」、フロントエリアのオーディエンスが手拍子で応えた「The Prayer」などが続く。Vo.ケリーは巨大なステージから降りフェンス越しに身を乗り出し、オーディエンスとボディータッチする。新曲「Mercury」も披露された。

終演後、オアシスで食事をとりRED MARQUEEでライブ中のTHE VINESを覗くことにした。一時期はとにかく音楽チャンネルでビデオが流れまくっていた。大混雑でメンバーの姿もほとんど見られなかったけれど、イントロが流れ出す度に巻き起こる歓声は気分を高揚させる。

前日の睡眠時間の少なさに加え、タフな環境で体力を消耗していた自分とC氏、この時間に初めて苗場温泉に行ってみることにした。 苗場温泉はキャンプサイトに隣接した大浴場で、入浴料500円(タオル100円)で入ることができる。午前2時まで受け付けているので下着をカバンに忍ばせておけば、ライブ帰りにそのまま立ち寄ることもできる。はっきり言って、会場の簡易トイレではなく、ウォシュレットで用を足せるだけで大感動である。

露天風呂に浸かり気分も上々。我々はテントへ引き返した。
折しもその時間は初日のヘッドライナー、MY BLOODY VALENTINEが演奏中で、キャンプサイトに人はほとんどいない。 C氏としばらく椅子に座り、互いの近況などを話した。歪むギターとオーディエンスの歓声が遠くこだまし、時々苗場食堂のライブの音も聞こえてくる。

ライブの熱狂と同じようにこういう状況を最もフジロック的だと感じる。非日常的な空間で、気のおけない友人とゆっくり語らうことができるのは、間違いなくフジロックの大きな魅力である。

深夜0時から始まるオールナイトフジに備えて、仮眠をとろうと横になった。
しかしあろうことか我々はそのまま朝まで眠りこけてしまったのだ! あれだけ楽しみにしていた電気グルーヴやsugiurumnを見逃すとは何事か。真夜中にテントまで起こしに来てくれた友人氏の声にも全く気付かず、二人揃って熟睡しちまっていたのである。

翌朝、目を覚ました我々は自責の念に打ちのめされた。一年のうち一晩だけ無理をするなら、それはフジロック初日の深夜だったのだ、きっと。

本日の1曲
モノノケダンス (Album Mix) / 電気グルーヴ

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