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隣人は歌うのがお好き

また今夜も始まってしまった。夜の高円寺に響く歌声。今回はスナックのカラオケではない。隣人の、高らかな歌声だ。マイルームに突如「ウオォォーウゥ!」というシャウトが聞こえてくる。それは昼間だろうが夜中だろうが明け方だろうが、突如始まる。何かが彼に火をつけてしまった。とにかく隣人氏は歌うのが好きなようである。

特に明け方、静まり返る空間に突如響き渡るからタチが悪い。不覚にもその奇異な歌声が響いた瞬間、体がビクッとしてしまう。ネコ氏も耳をピンと立てている。いや、我々はそれが例のリサイタルの開始だとわかっている。一度始まってしまったらしばらく続く事を覚悟しなくてはならない。

我々の驚愕にお構いなしにリサイタルは続く。隣人氏はハマショーやミスチルをこよなく愛しているようだ。残念な事にあまり自分の趣味ではないが、そこまで大声で歌うところをみると、彼なりに思い入れのある楽曲群であるようだ。
隣人の動揺にも気付くことなく、彼は感情たっぷりに歌い上げる。CDに合わせて歌っている様子はなくアカペラ状態である。カラオケを忌み嫌う自分にはちょっとした苦痛と言える。他人の悦に入った歌声ほど不愉快なものはない。

毎日の就寝時刻は明け方4時〜5時の間が多い。自室で大声で歌を歌うにはあまり適さない時刻だ。しかし彼は歌うことをやめない。ベッドに入ってもその歌声は続く。おもむろにトイレに行き、水を流してみると一瞬歌声が怯む。ニヤリとしつつその場を離れ、再度ベッドに横になる頃にはリサイタルは再開されるのだ。仕方がないのでオーディオを再生し歌声をかき消す。
CDの音源と人の歌声はちょっとわけが違う。彼の場合感情がこもり過ぎている。ソレ、アンタの歌か!?と言いたい。
この階の住人は自分と彼だけである。なんの理由で夜中のリサイタルを開催しているのか定かではないが、これでは例え怒鳴り込まれても文句は言えない状況だと思う。騒音に寛容な自分が隣人であることを感謝して欲しい。

考え方を変えればこちらが多少大きな音を出しても彼は気にしないということだ。気が楽だとも言える。上階には住人がいるが下階は店舗のため、そこまでナーバスになる必要もない。壁が隣家と接していない特殊な造りも功を奏している。
しかしその状況下にあっても隣人氏の歌声ははっきりとマイルームに届いてしまう。ものすごい形相で熱唱しているはずで想像するとちょっと恥ずかしい。

我が家に頻繁に訪れる友人達は「また歌ってるネ」と苦笑いであるが、いちいち言及するまでもない日常の騒音である。
上階の住人達は迷惑ではないだろうか?しかし隣人氏のリサイタルが継続されていることを考えると、特に苦情もないようである。
彼はこのマンションの住人達に感謝すべきだ。


本日の1曲
My Evaline / Weezer

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