『稲葉ウアー』

そう、確かにテレビを見ていない。数日前にセンバツのコラムを書いておきながら実際のところはトリノオリンピックも、他のセンバツの試合もまるで見ていない。今日雑談していた際、初めて聞いた言葉があった。

同僚「イナバウアーすごいよねぇ?」
taso「何、それ?」
同僚「え!イナバウアー知らないの!?荒川さんだよー?」
taso「あー、荒川静香さんね。(慌てて)知ってるってそれくらい!」
同僚「じゃ、何の選手か知ってる?」

彼女なりの常識クイズだ。しかもレベルは低いと思われる。
taso「知ってるって!(クールに)スケートでしょ・・・?」
同僚「すごかったよねぇ!あれ!」
taso「・・・(表情を伺う)」
同僚「え!荒川さん知ってるのにイナバウアー知らないの!?」
taso「イナバウアーは・・・知らん。(正直に告白)」

たまらず近くにいた同僚氏も話題に加わる。
近同「金メダル取ったんだよ。イナバウアー!」
同僚「やっぱすごいよね。イナバウアー!」
taso「ほぉー」
近同「日本人なかなかメダル取れなかったんだよねぇ。」
同僚「だからすごいテレビでやったんだよー」
taso「へー」

イナバウアー談義は白熱している。
taso「で、イナバウアーってどこの国の人なの?」

すると彼女達は何故か大爆笑している。
「ほんっとにテレビ見てないんだねぇ・・・!」と目を見開き、大爆笑かつ大驚きである様子。

てっきり「稲葉」さんという人の愛称だと思っていた。
スケート関係→日本勢はメダル獲得に苦労→しかしイナバウアーは金獲得→外人の強い選手→日本のメディアで散々報道→もしや日本人ではあるめぇか?
というそれなりの思考の流れがあったのだが説明したところで虚しいので、そっと胸にしまう。

同僚氏は「すごい、イナバウアー知らないで今日生きてることがすごい!」「海外旅行してたわけでもないのに。アハハ。高円寺でイナバウアー知らないってすごい!アハハー。」と変なテンションになってしまっている。

ひとしきり笑った後に彼女は「ジャック・バウアーの妹だよ。そそ。アハハハー」笑いながらどこかに消えていった。
今となっては笑い話だが、最初にそう言われたら「へー。あの人の妹オリンピック選手なんだぁ〜」とマヌケ面して信じてしまいそうで恐い。トリノオリンピックにも疎いが『24』も最初の数時間で挫折している。

他の同僚氏達にこっそり「イナバウアーって知ってる?」と聞くと決まって皆が体を仰け反らせたアクションをする。どうやらそれは技の名前らしい。

そして数時間が経過し、イナバウアーショックが過去のものとなりつつある頃、今度は別の同僚氏が「tasoさんの秘密知ってますよォー」とニヤニヤしているので「なにー?」とこちらもニヤニヤして聞き返すと「イナバウアー知らなかったでしょ?」と言われた。どうやらアハハーと消えていった同僚が吹聴したらしいが、その清純な彼女をニヤニヤさせてしまうとはイナバウアー効果は絶大である。

自分がちょっと知らないうちにある言語がスタンダードとして定着している。
そして本当に「イナバウアー」はそんなに有名なコトバなのだろうか?と未だに疑っている。


本日の1曲
Hung Up / Madonna


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