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個性は楽しきFREITAG



街を歩いている時、あまり他人に視線を注ぐことはない。しかしある時から「あるもの」が気になり出した。

そのバッグはヴィヴィッドな色使いで目を引いたし、素材も独特だった。電車の中でバッグの持ち主と乗り合わせようものなら凝視してしまう。
無骨なハンドメイド感覚、がさつな扱いにも堪えられそうな素材。カラーやパターンは見つけるたびに異なっていたけれど、汚れもすらサマになる個性的な佇まいは一度見たら忘れられない。かねてから目についていたバッグには同じロゴが入っていた。

FREITAG(フライターグ)は、使用済みのトラックの幌で作られたスイス発のリサイクル製品。フライターグ兄弟が、当初は自分たちのために制作したバッグである。

バッグのパーツは輸送トラックの幌の他に、自転車のインナーチューブ、車のシートベルトを再利用。新品の素材の使用は最低限に抑えられている。バッグは身体障害者を雇う工場でも縫製される。単なるエコロジー製品ではない、その社会面にも注目して欲しいという。

商品の性質上、同じバッグは存在しない。素材の丈夫さと機能的なデザインも手伝って、FREITAGは世界中にファンを獲得した。2003年にはニューヨークの近代美術館(MoMA)のデザインコレクションにも加わっている。

本国のWebサイトでは自分だけのカスタムバッグをオーダーできるようだ。用意されたカラフルな幌に、パーツの型紙を自由に当てイメージを作っていく。画面に表示される幌には所々切り取られた跡がある。誰かが自分のバッグにその部分を使用したということだ。

”Mass markets have managed to flatten out every trend – and the worst thing about that is they deprive me of the feeling of being different myself.”
(大規模なマーケットはあらゆるトレンドを画一的にしました。そしてその最も悪いことは自分は違うという感覚をも奪ってしまうことです)

FREITAGを所持している人々にも共通の特徴が見て取れる。まず20代後半から30代の男性が圧倒的に多い。派手なバッグをファッションのアクセントにしている人もいるし、プリントパンツを合わせて賑やかな人もいる。なぜかヘッドフォン率が高いのも気になるけれど、どんなコーディネイトでもFREITAGは存在感を発揮する。

プロダクトとそれを選ぶ人間を観察すると、ファッション雑誌も読まないアウトオブデートな人間でもなんとなくそのプロダクトの性質が読めてくる。

ヨーロッパを駆け回っていたトラックの幌は、街へ。そしてそのバッグは世界中の誰かと確かに繋がっている。


本日の1曲
Cum On Feel The Noize / Oasis

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