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退屈なだけの僕の話。

もし君が少しでも僕のことを知りたいと思ってくれてるなら、まずはスナックなんかを用意してそこに座ってくれよ。この僕の話ときたら、いつだって退屈で皆をいらいらさせちゃうんだ。

僕の話は堂々回りでうんざりする程長い。初めは皆が茶々をいれるんだけど、それにも飽きちゃって、しまいにはぼんやり僕を見つめるだけなんだ。そうやって誰かに見つめられる経験ってなかなかないよね。
誰にでも少しは聞いてほしい話ってのがあるはずだ。でも、多分僕の話は君の興味を惹かないだろうな。人の話ってのはその程度のもんだ。大抵の場合はね。

なんで僕がこうしてチマチマとキーボードなんかを叩いてるかって?しかも毎晩ときてる。ひょっとしたら誰の目にも触れないかもしれないよね。世の中で僕の存在を知ってる人なんて、ほんの何人かしかいないんだよ。ほんとの話。


街を歩いてるとさ、例えば、交差点なんかで大勢とすれ違うわけだ。僕はここで生まれたわけじゃないし、そもそも知り合いなんてほんの何人かしかいないんだ。これはさっきも言ったよね。
だからいくら大勢の人とすれ違ったって、誰も僕に気付かないし、声も掛けてこない。皆が目的地へすたすた歩いていくんだ。

だから僕が一日そこに居たって、誰の気にもとまらないんだよ。おそらくこの先かかわり合いになる人もいないんじゃないかな。そんなのって、なんかまいっちゃうよね。

仕方なく僕は部屋に戻ってくるわけだけど、またこの部屋ってのが一層僕を滅入らせちゃうわけだよ。机に散らかったスナックや固いパイナップルの芯なんかを眺めてるとね。片付けるってことが苦手なんだよ。ごみを捨てる時ってすごく神経質になっちゃうんだ。

でもさ、考えてもみてよ。“ほんの何人かの知り合い” 以外の人がもしこれを読むんだとしたら、それってちょっとしたサプライズなんじゃないかな。そういうのって悪くないよね。

(注:筆者は『The Catcher in the Rye』読書中につき、ホールデン口調になっています)


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Teen Age Riot / Sonic Youth

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