ASIAN KUNG-FU GENERATION @NANO-MUGEN FES.2006

日頃からvo.後藤氏はロックンロールファンを公言している。ASIAN KUNG-FU GENERATIONにファンクラブがないのは、決まったバンドに盲目的になるのではなく、広く音楽のファンであって欲しいと願うからだ。
自分たちの音楽をきっかけにして、広く音楽の魅力を知って欲しいと願い、NANO-MUGEN FES.はそのための活動として続けている試みのひとつである。

会場はステージ前のアリーナスペースと各階のスタンドに分かれている。横浜アリーナは思ったよりもこじんまりとしていて、2階のスタンド席からはステージを広く見渡すことができた。
一度は彼らのステージを上階から見たいと思っていた。もっとも、アリーナに降りればステージまでの距離は近いが、密集するオーディエンスで視界が遮られてしまう。今回はフェスという特別なイベントであるから2階から見渡すライブも悪くないはずだ。

本日は昼過ぎから計8組のアーティストが順にライブを行ってきた。洋邦、無名有名入り乱れ昼過ぎから音楽が途切れることはなかった。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの登場を前に会場がざわつく。弛緩した表情で座席に座っていた人々が一斉に立ち上がるのに驚く。いよいよヘッドライナーの登場だ。

『暗号のワルツ』の演奏がスタートした数秒後、ステージ横のモニタが後藤氏のアップに切り替わると、会場から起こる歓声。歓声というよりもむしろどよめきに近い。

会場中央の2階席の通路に立つと、視界の真っ直ぐ先に後藤氏を見据えることができた。『何万人の観衆の前で演奏しても、結局は1対1がいっぱいあるだけ』という彼のかつての発言を思い出した。

全国各地からこのフェスのために横浜にやってくる人も多い。1時間で新横浜に到着できる自分など、まだ近い部類に入るはずだ。皆の期待の視線がステージに集まる。バンドはまばゆい照明に照らされ演奏を続けている。まばゆい照明に照らされる後藤氏を1万を超える観衆が見つめている。
大きなステージに立つミュージシャンは神々しくも見える。しかし彼が1対1の姿勢で音楽を続ける限り、その進化すら身近に感じることが出来そうだ。

後藤氏自らもフェスに足繁く通う音楽リスナーだ。ライブがきっかけで新しいバンドに出会い、その空間を体験することがどんなに意味のあるものかを彼は十分承知している。そして彼がオーガナイズした空間が新しい音楽との出会いを生んでゆく。

『インディーとかメジャーとかさ、洋楽とか邦楽とかさ、そんなのどっちでもいいんだよ。ただ音楽が好きなだけでさ。』また格好の良いことをステージ上でさらっと言う。このフェスに参加したオーディエンスにはこの意味がわかるはずだ。

ラインナップも洋邦楽が半々、今年はなんとThe Rentalsがやってきた。ラジオでその発表を聴いた時は思わず一人で声をあげた。The Rentalsは元Weezerのベーシスト、マット・シャープが結成したバンドであるが、生粋のWeezerファン以外にはあまり馴染みがないと思う。熱狂的Weezerファンの後藤氏らしいセレクトにまいってしまった。(Weezerの1stと2ndの楽曲の輝きが突出していることを考えると、マットの功績は大きいと言えそうだ)

そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONのアンコールでThe Rentalsが登場した。開催にあわせて発売されたコンピレーションアルバムに収録されているThe Rentalsの楽曲、『Getting By』を両バンドが入り交じり演奏したのだ。
実は密かに両バンドの競演を期待していた。(無いか・・・?やっぱ無いよナ?)と思っていたところにThe Rentalsが登場し、個人的ボルテージが上がってしまった。

いちWeezerファンとしては、信じがたい競演だ。そして後藤氏も”普通に”マットのファンである。またこの人は夢を叶えてしまった。彼が音楽を愛し続けたからこそ、実現した夢を目の前で目撃して胸が熱くなった。演奏後、ステージ裏で雄叫びを上げたマットに、後藤氏は微笑みながら『Thank you!』と返していた。こんな会話をする日がくると彼は想像していただろうか?

対バン企画として小さなライブハウスで始まったNANO-MUGEN FES.は既に6回目を迎え、今年は初めて2日間の開催となった。
今や日本中にいるファン達に向けてフェスを開催する。ナノの点から無限の世界へ。彼らの想いが集約されたこのイベントは『日本一敷居の低いフェス』を謳っている。
ロックンロールは全ての人のために。なんとも彼等らしい試みであると思う。


SETLIST

01.暗号のワルツ
02.ワールドアパート
03.ブラックアウト
04.ロードムービー
05.桜草
06.ブルートレイン
07.Re:Re:
08.センスレス
09.君という花
10.十二進法の夕景
11.サイレン
12.月光
—-アンコール—-
01.Getting By w/The Rentals
02.ループ&ループ
03.リライト
04.タイトロープ


本日の1曲
Getting By / The Rentals & ASIAN KUNG-FU GENERATION



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>>connection archive >> 
06/27 『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2006 -count 4 my 8 beat- @ZEPP TOKYO
04/28 『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2006 -count 4 my 8 beat- @千葉LOOK
02/02 『夏の日、残像


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