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シガレッツ

非喫煙者の皆様はご存じないと思うけれど、街の喫茶店ではイス取りゲームよろしく、喫煙席の争奪戦が繰り広げられている。少なくとも自分の通う喫茶店では。昨日も今日も店の喫煙席は満席であった。そして一度は禁煙席に腰掛けても、未練がましく喫煙スペースの方向を眺めてしまう。

街の喫茶店は続々と改装工事を進め、禁煙席を拡大している。都市部では入店した店で煙草が吸えたらラッキーという状態になりつつある。
分煙の飲食店では順番待ちをする客に「禁煙席ならばすぐ御用意できます」と説明している光景をよく見かける。状況によっては仕方が無く席に着くが、大抵は「待つ」。

昨年あたりから煙草のパッケージに大々的な警告文が印字されるようになった。全体の寸法からしてもかなり大々的である。これでは綺麗な色や書体で女性向けにデザインされたパッケージも台無しである。雑誌広告にスタイリッシュな広告を掲載してみたところで、下部にはおどろおどろしい警告文を載せなくてはならない。
さらに追い打ちをかけるように国内でもたばこ増税が決議され、1本につき1円の値上げが実施される。

ニューヨークを訪れた3年前、出発前に「こっちは煙草が高いから持ってきた方がいいよ」と友人氏のアドバイスがあった。当時マルボロライトは1箱7ドル。彼女は「ちょっとしたランチが食べられる金額」と言っていた。マンハッタンでは東京以上に煙草が吸える飲食店を探すのに一苦労で、入店したジャパニーズIZAKAYAですら禁煙だった。凍える外気にさらされながらも店の外で喫煙したのは言うまでもない。

今日では路上喫煙はもってのほか、新宿駅のホームからも灰皿が消えた。思い出してみると3、4年前までは歩き煙草をしていたが、いつしか灰皿の無いスペースでは喫煙を控えるようになった。嫌煙の呼びかけで世の中の風潮が変化したということなのだろう。

しかし、灰皿が街から消えることは必ずしも良いことではない。以前灰皿があった場所によく吸い殻が散乱している光景がそれを物語っている。愛煙家にとって、喫煙する行為は生活のリズムに組み込まれている。街で一服する場所も大体決まっていて、灰を落とす際に初めて灰皿の消失に気付くこともある。

嫌煙団体の抗議によって、かの有名なビートルズの『アビイ・ロード』のジャケットから1本の煙草が消えた。ポールが持っていた煙草はデジタル処理で消去され、今後新しくプレスされるジャケットのポールは煙草を手にしていない。
なぜそこまで、と思う人が大半なのだろう。音楽史上重要なこの1枚のアルバムのジャケットか改ざんされようとは。これまでも様々な逸話で有名なこのジャケット写真にまたひとつエピソードが加わったようだ。


本日の1曲
Oh! Darling / The Beatles

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