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SHINJUKU SOUTHERN BEAT PROJECT


現在の新宿駅、南口改札を出るとすぐに工事現場に遭遇する。再開発(新宿駅南口地区基盤整備事業)が続行中なのだ。数年以上は続いている工事で、要するに以前の景色を忘れてしまうくらいに長い。
言うまでもなく新宿駅は国内最大級のターミナルだ。一日の利用客数は約320万人とも言われている。かく言う自分もまた、毎日新宿駅で電車を乗り降りする利用者の一人である。

ある日、突如その「仮囲い」の白い壁にイラストレーションが施された。線画のイラストには見覚えがある。
黒田潔氏は、国内外で活躍する若いイラストレーターだ。雑誌や本の装丁、Tシャツなどでイラストをよく見かけていた。
横長のカンバスよろしく、多方向に展開していくイラストは素晴らしかった。街の風景と一緒に彼のよく使うモチーフである植物や、昆虫も精密に描かれている。突如現れたギャラリーに胸が躍る。

イラストに見とれながら歩を進めると突如ポスターが現れた。
長方形の大型紙面に黒の文字が躍る、それは一風変わった新聞記事のようで辺りに異様な存在感を醸し出していた。実際、一見した時は(最近の街頭ビラはお洒落になったのだナ)と思ったくらいだ。否が応でも人目を引く。

見ると、それぞれのポスターには時代のキーワードというべき言葉がコラージュされている。どうやら年代別に複数作られている様子。南口を往復する度に横目でチラ見。
(左写真 上から60年代、70年代、80年代、90年代、2000年代のポスター)
懐かしい流行りものや、かつて話題になった名言をあしらった簡潔なグラフィック。しかし簡潔すぎてそれが何のポスターなのかわからない。何かの告知か、宣伝か?

ある時立ち止まり隅々まで眺めていると、ポスターの端にサイトのURLが載っていた。アクセスすればこのポスターについて調べられるはずだ。しかしそのURLに目を疑う。
国土交通省?
それはとてもGovernmentの仕業とは思えなかった。

SHINJUKU SOUTHERN BEAT PROJECTは全長300メートルにも及ぶ仮囲いスペースで繰り広げられる試みの総称。当時アートディレクションは今をときめくTycoon Grafhics(タイクーングラフィックス)が担当していた。

”常に時代の若者文化を発信しつづけてきた青春の街、新宿。新宿は日本を代表する大都市でありながら、あなたの青春時代と重ねられる身近な街でもあります。”

上京した1996年は高島屋タイムズスクエアがオープンした年で、その後も大江戸線の開通やサザンテラスやFlagsなどの大型ビルディングの建設が相次いだ。代々木方面にそびえるDocomoタワーが建設されたのもその頃だろう。この10年間で南口は、雑多な西口、東口とは少し趣の異なるエリアになった。

現在は” 新宿ID(アイデンティティ)”と題したキャンペーンが行われている。そう言えば最近「仮囲い」には大型写真の展示が開始された。参加者をWebで募集し、そのポートレイトを撮影するという試みらしい。

見るとなんともシンジュクらしい雑多な人選に唸る。写真好きとしてはやはり目を奪われるし、街角に写真が展示されているのはうきうきしてしまう。
工事はまだまだ続く。工事期間中の仮囲いはまさに”期間限定”の公共メディアだ。


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幸福論 / 椎名林檎

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