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コスメカウンター群像

『”心と身体は繋がっている”という考え方から、リラ・・・ク、ゼーションにも重点を置いています。』その日、我々はデパートメントのAYURAカウンターにいた。
隣にいた友人氏はビューティーアドバイザー氏の説明を聞きながら『ウーン、ウーン』と深く頷いていた。特に『繋がっている』のあたりで彼女の唸り声は一段と大きくなった。大きな目をさらに大きくし相手を見据え、あたかも酸っぱいものでも食べたみたいに切ない表情をしている。

BA氏はその台詞を研修で必死に覚えたのだろう。たどたどしくブランドの理念を棒読みする姿に苦笑するが、フト隣を見ると友人氏は何度も何度も頷いている。彼女はいたく感銘を受けてしまったようだ。まるで自分とは違う次元にいるようだった。

普段ならば(そんなのわかってるよ)と追いやる言葉もデパートで聞くと説得力が増してしまう。ブランドの新色を施したトレンドメイクと手入れが行き届いた指先に説得力は宿る。目の前で説明を続けるBA氏は黒目がちの瞳も可愛らしく、肌もツヤツヤとハリがあった。多少説明がたどたどしくても埋め合わせが出来るかもしれない。

AYURAはバスグッズのラインナップも充実している。身体に張り付いた一日の空気を洗い流し、気に入りの香りに包まれるのは幸せな一時である。
人気のバスエッセンスやシャンプー、ボディオイル等はどれも控え目な植物の香りが清々しい。ディスプレイの前でまだうっとりしている友人氏を横目に本日はボディー洗浄料を購入した。

購入の意志を伝えると店の奥から真新しい商品が取り出される。デパートならではの確認作業が待っている。『こちらの商品でお間違いないでしょうか?』お間違いことを確かめると、BA氏はこっそりと裏方のレジへ去っていく。
丁寧に包装された商品は『お帰りの方向』まで出向いた美容部員によって渡される。これらの一連の流れがちょっといい買い物をした感を生み出すのだろう。

売り場を後にしてからも友人氏は酸っぱい顔で熱っぽく語り続けていた。
慣れない説明を繰り返すBAと、熱心にそれに聞き入る女性の組み合わせ。デパートのコスメカウンターにはそんな光景が溢れているのかもしれない。


本日の1曲
しましまのバンビ / Chara

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