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滅亡を計算する人々

この度4年振りに世界終末時計(Doomsday clock)の『時刻』が発表された。終末を0時に設定した時計の針は2007年現在23時55分を指し、地球滅亡まであと5分に迫った。

今日の世界情勢を考慮した上で科学者達はその何分前を指しているかを決める。新たに設定された時刻はアメリカの科学誌『原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)』に掲載される。

世界終末時計発表の試みは1947年から開始され、時刻の訂正が必要と判断される度に発表される。今回は4年振りの訂正で終末までのリミットは前回(2002年)から2分縮められたことになる。


これまでに発表された終末時計で一番零時に近いのはアメリカとソ連が水爆実験に成功した1953年で「2分前」。(上図左から順に)次いでソ連が核実験に成功した1949年は「3分前」。ベルリンの壁崩壊後の1990年は「10分前」。同時多発テロ翌年の2002年は「7分前」。
そして2007年は北朝鮮、イランの核問題に地球温暖化への深刻な懸念も加わり、史上4番目に”遅い時刻”を示している。

科学者達が算出した目に見えない時計の存在は確かに衝撃的だった。しかし同時に終末時計の時刻設定に関わる研究者のことを考えずにはいられなかった。

地球規模の研究を続け、膨大な時間軸を前に地球の未来を想像する。自分が決して見ることができない世界を予測し、警鐘を鳴らす。しかしながらその研究の数値が正しかったかどうかは自分の目で確かめることはできない。人類が体験したことのない世界を想像するという点で過去の歴史研究とも異なっている。

宇宙や未来について途方もない事象について考えを巡らせるとき、人は混乱する。そしてその混乱の中に哲学を見出だしたりする。
地球の未来を想像したり、宇宙について研究をすすめる時、自分という個のあまりのはかなさに打ちのめされることはないのだろうか。

短命で限りある命は地球の未来を実際に見せてくれない。真実を目撃できない研究に明け暮れる科学者の想像力と、精神力には脱帽するばかりである。


本日の1曲
The Clock / Thom Yorke

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