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『まんが道』 藤子不二雄A

まんが道』の主人公、満賀道雄と才野茂は富山県高岡市の小学校で出会い、漫画を通じて意気投合する。それは藤子不二雄Aと藤子・F・不二雄の運命的な出会いである。『まんが道』は二人の出会いに始まり上京して漫画家になった数年後までが描かれる、半自伝的作品だ。

二人は常に新しい漫画の構想を練り、ノートにアイデアを書き付ける。上京し漫画一本で生活すを決めた彼らだが当初は貧乏だった。しかしそこに悲壮感は漂っていない。お互いに支え合い、目標を同じくして集まった仲間がいたからだ。
トキワ荘は手塚治虫のかつての仕事場であり、石ノ森章太郎や赤塚不二夫らも住んでいた。今や国民的漫画家の新人時代を垣間みることが出来る重要な記録とも言えるだろう。

二人には毎日が怒濤の日々だ。連載の決定に歓喜し、作品の不評に落ち込むこともある。満賀と才野は二人であるからこそ困難を乗り切ることが出来る。励まし合い、創造する喜びや達成感を分かち合いながら、彼らは漫画の新しい道を切り開くために精進する。

原稿が完成すると大好きな映画に出掛け、祝い事があるとチューダー(焼酎のサイダー割り)で乾杯する。それは些細な祝杯に過ぎないが、一つ一つの出来事が若い力に溢れていて、その情熱はこちらにも飛び火する。

作品中の台詞も大いに魅力的だ。驚くのは感嘆符の多さである。満賀と才野のやりとりは臨場感に溢れている!アドレナリン大放出の若い2人のコーフンぶりにこちらもクスッと微笑んでしまうのだ!

物語の序盤で「肉筆回覧誌」というものが登場する。これはまんが道を語る上でかかせないアイテムだ。二人がまだ学生の頃、当時流行し始めた児童誌を真似て雑誌を手作りする。描きためた漫画や絵物語を収録し、勝手に広告まで製作する。針金で製本された肉筆回覧誌は近所の少年達の手に渡り、読み込まれた形跡を残して二人の元に帰ってくる。なんだかこちらまでわくわくしてしまう。初めて読者を獲得した興奮と快感が伝わってくるエピソードだ。

作品中には実際の漫画家が多く登場するが、彼らにとっても手塚治虫氏の存在は特別だった。二人が学生時代に大阪の手塚邸を訪ねた時、氏は400ページの作品のために1000ページを描いていたことを知る。彼らは天才の努力を目の当たりにし、恥ずかしさで持参した原稿を見せることができなくなってしまう。そして帰りの列車の窓から持参した原稿を投げ捨てる。そして彼らは新たな闘志に燃えるのであった。

大学時代に友人氏から「絶対好きだと思うヨ」と大推薦を受け、迷わず全巻注文した。そのページをめくる度に少年のまっすぐな情熱がビシビシと伝わってくる。
何かを目指す人にとって『まんが道』は一生のバイブルになるであろう傑作だ。


本日の1曲
A Praise Chorus / Jimmy Eat World


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>>作品メモ >>

1970年(昭和45年)から72年まで、秋田書店『週刊少年チャンピオン』に連載された「まんが教室」4ページのうち2ページ分に描かれる。77年(昭和52)から82年まで少年画報社『週刊少年キング』に連載、『藤子不二雄ランド』に引き継がれる。89年から、続編の『愛…しりそめし頃に…』が小学館『ビッグコミックオリジナル増刊』で連載中。現在、中央公論新社の文庫版とブッキングの藤子不二雄Aランドで入手可能。

1986年と87年にNHK銀河テレビ小説でドラマ化された。
Wikipediaより抜粋)

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