松尾スズキ、お前もか!『ニャ夢ウェイ』

『ウチの猫がイッチバン可愛い』と言われ、その後アッサリと『tasoんちの子は2番ね』と言われた時、一生懸命平静を装ったが、内心殴ってやろうかと思った。ペットを飼っている皆様、どうか『ウチの子が一番』発言は慎んでいただきたい。皆が皆、ひっそりとそう思っているのは暗黙の了解ってことでいいじゃないか。

芥川賞の候補になろうが、今をときめく大人計画の主宰であろうが関係ない。最早松尾スズキ氏は猛烈な猫馬鹿にしか見えない。
ロッキング・オン・ジャパンで連載されていた猫コラム『ニャ夢ウェイ』が単行本化され、友人氏はそっと自分に『ニャ夢ウェイ』を差し出した。

ある日、捨て猫オロチが松尾家にやって来た。オロチの可愛さに平常心を失い、惑わされ続ける松尾夫妻の痴態がさらされている。
・・・松尾スズキってこんな人だったのか。そして急激に親近感が沸く。

本書は愛猫オロチの面白エピソード満載なのだけど、個人的にはタイ旅行の明らかにオロチがデカ過ぎる合成写真が一番のケッサクだと思う。ガムテープのにおいを臭いで変な顔になるオロチ。自分の尻尾を追いかけ回すオロチ。重力を発見するオロチ。
そんなオロチの一挙一動に翻弄され、”キャワイー!”と悶絶する馬鹿な飼い主。

猫は表情を変えない。テーブルの角に頭をぶつけゴツン!と鈍い音がしても、バスタブから湯船に落っこちても常にポーカーフェイス。
意味不明な行動も多い。食べ終わった冷やし中華の皿に一生懸命砂をかける仕草をしていたり、クチャクチャという地味〜な音に目を覚ますと暗がりでティッシュを食らっていたりする。
家猫のはずなのに耳に泥がついていたり、臭いナ臭いナと思っていると隣にいる猫氏の肉球の間にびっしりうんこがはさまっていたりする。猫との暮らしは、想定外のサプライズに溢れているのだ。

猫は人間とは違う次元で暮らしているようにも見える。こちらがいくら深刻な悩みに頭を抱えていても、湿布の臭いを嗅いだり、空き缶のプルタブを追いかけるのに忙しい。
トイレの淵に片足を乗っける無駄にかっこいい仕草や、屋外で繰り広げられる野良猫の紛争にビビリつつも部屋の中から彼なりの野次を飛ばしている様は、やっぱり”キャワイー!”のである。


本日の1曲
My Best Friend / Weezer


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