高円寺商店街ライフ

友人氏宅を訪れると友人氏は履歴書を書いていた。それは就職活動をしていた何年か前の話で、彼は机の上に転がっている何本かのボールペンの”つき”を確認して少し落胆したようだった。そして、一緒に近くの商店街へ出掛けた。彼は文具店でボールペンを買い、商店街を歩きながら花や雑貨を物色していた。

お茶屋では茶葉が秤で売られ、金物屋のワゴンには急須と湯飲みが並び、古書店では古い映画雑誌が積み上げられている。スタスタと歩く友人氏の後方を着いていった。専門の商店で特定のものを買うという行為が珍しく、店先に陳列されたあらゆる商品を眺めていた。

彼は商店の小さくて白いビニール袋を指に引っ掛けて帰宅した。欲しいものを必要な時に必要なだけ買うことが新鮮に映った。

もっとも、デパートやホームセンターに行けば必要なものは大抵手に入る。その頃の買い物といえば一度出掛けたら持ちきれない程の荷物を抱える帰り道と決まっていた。次の買い物が面倒で買い溜めをしてしまうから余計に荷物が増える。

数年後、自分も高円寺に住むことになり、時々商店街をぶらつくようになった。高円寺には商店街がいくつもある。若者が多い土地柄で通りは常に賑わい、新しい店舗も増えている。総菜屋で総菜を買い、電気屋で電球を買い、洋品店でハンカチを買い、古本屋で古本を眺めているとこの街に越してきて自分の買い物スタイルが幾分変化したのを感じる。

商店街のある街は良い。必要なものをちょっとずつ買うという行為を楽しませてくれる。商品を選びながら店をはしごしていると散歩気分でとても楽しい。
帰宅してから購入したものを片付け、商店街の小さなビニール袋の散らかった床を眺める。買い溜め癖はなかなか治らない。


本日の1曲
Too Many Sandwiches / Stereophonics


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2/6 『我が街、高円寺


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