愛しのハク 〜飼い猫も潤う6月編〜
女性達が髪の広がりを気に病んで縮毛矯正に勤しみ、久々に開いた折り畳み傘の得体の知れない臭いに辟易する6月。先週の梅雨入りのニュースを横目に確認してからは本当に雨ばかりの日々だ。
そんな中、相変わらず我が家のネコ氏はマイペースな生活を満喫している。
しかし彼が時々蚕のような気色の悪い物体を吐き出しているところを見ると、彼も毎日毛づくろいに忙しいようだ。梅雨時期にはネコ氏の体毛も幾分しっとりしている。
毎日の浴室でのブラッシングが大好きで、こちらの入浴の気配を感じると浴室に突進してくる。ベッドの上でまどろんでいても、カリカリと食事の途中でも、トイレに入っている時でさえ砂をかけるのを忘れて突進してくる。(コイツ、ちゃんと出し切ったんだろうか?)と疑いたくなる慌てぶりだ。そしておもむろに洗い場の中央に寝転んでスタンバイしている。
これまでいくつか買ったブラシのうち、彼はラバーブラシがお気に召したようである。大きめの円錐の突起がついたブラシで優しく撫でると驚く程の毛が取れる。刺激が少なくマッサージ感覚でいられるのだろうか、ネコ氏は恍惚とした表情で『次、こっちネ』とでもいいたげに、自分で体勢を変えている。
ある日、常に浴室のバスラックに置いてあるはずのブラシが無くなっていた。目の前ですでにスタンバイ状態のネコ氏を放置したまま、全裸で部屋中を探しまわる。どこかで見たような気もするが見つからず、不服そうなネコ氏を前にひどく情けない気分であった。
そう、彼はブラッシングが大好きな余りブラシをどこかに持っていってしまう。気付くとテレビの前や、キッチンマットの上、机の下などにピンクのブラシがゴロンと転がっている。起きたら枕元にブラシが転がっていることもある。催促のつもりなのだろうか。
そのブラシはネコ氏の顔よりも大きく、結構重い。実際運んでいるところを見たことがないだけに、よく運べるもんだナとなんとなく感心していた。
ある日、テレビを見ていると浴室方面からネコ氏がヨロヨロと歩いて来た。すごい形相で必死にブラシをくわえ、足元もおぼつかない有り様だ。途中でゴトンと何度もブラシを落としながら苦心している。心の準備が無いまま視界に入ってしまったその光景に、驚きと笑いでひっくり返ってしまった。
今でも時々ブラシが無い事態に陥る。探し出したブラシでブラッシングする時、彼のパラドクス的行為に困惑しつつ、普段より丁寧にブラシしてあげるようにしている。
本日の1曲
雨の土曜日 / サニーデイ・サービス
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