Weezer / Across the Sea

これまでに選んだ”本日の1曲”約250曲余り。しかし困ったことに、思い入れがありすぎて選べない曲も存在する。だからWeezerのAcross theSeaはいつまで経っても選べる気がしない。この10年間でもっともよく聴いた曲だろうし、これほどまでに深く共感した曲はない。

歌詞は1通のファンレターを受け取るところから始まる。差出人は日本の小さな町に住んでいる女の子。そしてそのエピソードの影響もあって、日本のWeezerファンからも人気が高い。

Weezerは1995年、1stアルバム『Weezer』をリリース。シングルカットされた『Buddy Holly』はMTVの年間ベストミュージックビデオに選出された。親しみやすいメロディーと、ロックバンドにあるまじき”普通な”ルックスで一躍人気バンドになる。

しかしリバースは戸惑っていた。同じ曲目を演奏し続けるワールドツアーのスケジュールや、同じ質問に答え続けなくてはならない膨大なインタビュー。何かの間違いでここに立っているだけだと叫びたい時もあっただろう。
誰のために歌うのか?自分の歌は誰かに届いているのか?

彼は1通のファンレターを手にして、差出人の少女のことを想像する。どんな洋服を着て学校に行っているのだろうとか(”what clothes you wear to school”)、どんな部屋に住んでいるのだろうとか(”how you decorate your room”)思いを巡らす。そして彼女の無垢さにすがりたくなる。

ミュージシャンとファンの関係なんてたかがしれている。結局のところ、本当に助けを必要としている時、彼に手は差し伸べられない。貪欲なファンは新曲を求め続けてばかりいるし、彼はロックスターで、名前も顔も知らないファンに甘えることは許されない。たとえ世界中にファンがいようとも。
今こうしてWeezerへの勝手な思いをつづっている間にも、彼は苦しみに煩悶して眠れぬ夜を過ごしているかもしれない。もっとも目の前のCD以外に何の接点があるだろう?

しかし彼の作った楽曲はショップに陳列され、ラジオ局でオンエアされ、色んな国に届けられている。楽曲に励まされ、影響を受け、知らない人の生活に入り込んでいく。顔の見えない相手に向かって彼は彼の音楽を鳴らし続ける。
どこかの土地で自分の音楽が何かの化学反応を起こしている。それはとても不思議なことで、うまく実感できないことかもしれない。

今見えている景色なんてほんの一部で、結局は何ひとつ見えていないんじゃないかと思う時もある。
しかし誰かの心の中に、ちょっとだけでも自分の存在が在ると感じることはなによりも尊いのではないか。たとえ実際に会って、語り合うことが今はできないとしても。


本日の1曲
Across the Sea / Weezer



Across the Sea

You are 18 year old girl
Who live in small city of Japan
And you heard me on the radio
About one year ago
And you wanted to know
All about me and my hobbies
My favorite food and my birthday

Why are you so far away from me?
I need help and you’re way across the sea
I could never touch you
I think it would be wrong
I’ve got your letter
You’ve got my song

They don’t make stationery like this where I’m from
So fragile, so refined
So I sniff and I lick your envelope
And fall to little pieces every time
I wonder what clothes you wear to school
I wonder how you decorate your room
I wonder how you touch yourself
And curse myself for being across the sea

Why are you so far away from me?
I need help and you’re way across the sea
I could never touch you
I think it would be wrong
I’ve got your letter
You’ve got my song

At 10 I shaved my head and tried to be a monk
I thought the older women would like me if I did
You see, ma, I’m a good little boy
It’s all your fault, momma, it’s all your fault
Goddamn, this business is really lame
I gotta live on an island to find the juice
So you send me your love from all around the world
As if I could live on words and dreams and a million screams
Oh how I need a hand in mine, to feel

Why are you so far away from me?
Why are you so far away from me?
I could never touch you
I think it would be wrong
I’ve got your letter
You’ve got my song
I’ve got your letter
You’ve got my song


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2ndアルバム『Pinkerton』は内向的、極私的楽曲が評論家の非難の的となり、前作のセールスを超えることはなかった。(しかしこの作品で日本でのWeezer人気は不動となったと確信する)

『Pinkerton』の商業的な失敗(作品は素晴らしい!)でvo.リヴァースは、しばし音楽から遠ざかり、ハーヴァード大学に入学しバンドは休止状態になってしまう。彼は『ロックバンドとしてワールドツアーを回ることがいかに退屈か』という論文を提出している。
世間から姿を消していた間、彼は左右の足の長さを揃える手術をし、不恰好な強制器具をつけ、一方で発表するあてのない楽曲を作り続けた。新作を待望する ファンは数年間焦らされ、バンドを去るメンバーもいた。

そして2001年、3rdアルバム『Green Album』で音楽シーンにWeezerは戻ってきた。アルバム発売前から、オフィシャルホームページでレコーディングしたばかりの音源を無料配信し話題になった。それらの音源はアルバムにも入っていない。

2002年『Maladroit』リリース後ジャパンツアー(”Japan World Cup Tour”)開催。Zepp公演は前列にいながらも、オーディエンスの異常な盛り上がりでステージが全く見えず(ちなみにリヴァースはヒゲ面でクッキーモンスターのようだった)、翌週も当日券で参戦。幸福な連戦であった。
8月にはサマーソニックで来日。夕暮れの”Island In The Sun”が印象的だった。

2005年『Make Believe』リリース。8月サマーソニックに出演。ニューアルバム発売直後でありながら新旧織り交ぜたセットリストでファンを喜ばせた。サマーソニックの熱烈な歓迎に応えて12月には再度ジャパンツアー(”Mos Burger Tour 2005”)で来日。新木場STUDIO COASTに参戦。
今年vo.リヴァースは日本人女性と結婚したばかりである。


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