愛しのハク 〜純白のファッショニスタ編〜

カラフルな輸入物のおもちゃや美味しそうなおやつ。自動給水機能のついた水飲みトレイにふかふかのベッド。
動物と暮らす人間にとってペットグッズ売り場はやはり楽しい。

我が家で留守番をしている愛猫ハク氏に思いを馳せながら売り場を見物しているとペット用の靴下を見つけた。1セット4足の小さなニットの靴下だった。シンプルな単色からマルチボーダーまで種類も豊富だった。

友人に教えると彼女は感嘆の声をあげた。グレーと黒の縞模様の彼女の愛猫にどれが似合うかと考えあぐねている様子。彼女は靴下をつまみながら『いいよネー、白いとなんでも似合うから。』と少し羨ましそうに言った。
そうだ。我が家の白猫ハク氏は無地だからどんな柄でもそこそこ似合う。けれどきっと彼は靴下を穿きたがらないだろう。

我が家にハク氏が来て間もない頃、ペットショップで首輪を買った。売り場を右往左往し小一時間迷った末にペパーミントグリーンの革製の首輪を選んだ。
帰宅して早速ハク氏に首輪をつけてみた。当初は慣れない異物感に戸惑い、前足で首輪を掻く仕草を見せていたけれど、白い体毛にニュアンスのある色味が良く映えた。我ながら自分のセンスに脱帽した瞬間である。なかなかお洒落に見える。

首輪にもそのうち慣れるだろうと部屋をあとにした。数十分して部屋に戻ると壁際に猫氏の姿があった。彼は壁の一点を見つめ、その場に凝固していたのである。顎下から伸びた首輪の輪っかは二つの耳を押し潰し、もうどうにもならない状態になっていた。
おそらく彼は目を離したあとも、首輪を外す作業を続け、一番顔幅の広い所まで首輪をずり上げる事に成功したが、それから先がどうしても抜けなかった。猫氏は険しい表情で屈辱に耐えているように見えた。

かくしてあっさりと首輪は諦めた。なんとなく猫は首輪をするものだと思いこんでいただけで、インドアキャットである彼には元々必要なかったのかもしれない。
ハク氏は洋服も着ないし、靴下も穿かない。それ以降は真っ白のまま素っ裸の状態で暮らしている。


本日の1曲
Snowscape / the band apart


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