愛しのハク 〜ぼく達のささやかな10年編〜

日常生活に微笑ましいエピソードを与えてくれるペットの存在が世の中のブログを長続きさせているんじゃないかと思う。
それにブログが普及するまでは、「我が家のペット」の日々の様子はオーナー(とその家族)のみがそっと感じるものではなかったか。

ペットとの暮らしを記録するのにブログは適している。その日の散歩コースや、新しいフードに切り替えてみた感想なんかを記録しておく。
日付の入ったエントリーが貯まれば愛するペットの貴重な成長記録になる。オーナー同士にとっては情報交換の場であるし、大切なペットを皆に紹介できる場でもある。

もっとも、情報をサーバーにアップロードすることでパソコンがクラッシュしてもデータが残るから、それまでの記録がフイになることもない。
____なんて素晴らしいんだ、技術ってやつは!

始めて2年に満たないこのブログでは、初登場からハクは大人だったけれど、当然ながら我が家のハク氏(10才)にも子猫の時代があった。思えば1997年当時はまだインターネットが限られた人達のものだった。ペットの成長記を綴ったブログを見ると、時々少し羨ましくなる。



自分の部屋の中に動物がいる感覚が恋しくなり、一人暮し2年目にハク氏はやってきた。頼りなげで虚ろな目と、冒険心剥き出しなやんちゃな行動。跳ねるように部屋を駆け回ると、ピンク色の耳の内側がつやつやと光った。なにもかもが作られたばかりのように “フレッシュな” 子猫だった。

当初脳天についていた小さなグレーの斑点が成長と共に消え、ある日から子猫ハク氏は真っ白な猫になった。

子猫ハク氏はみるみる中くらいの大きさになった。中猫ハク氏は、その後激太りの大猫ハク氏時代を経て現在に至っている。飼い猫の成長や変化を感じる時は、なにかを残したい衝動に駆られて一眼レフで写真を撮った。日付のない写真は他の多くの写真に紛れてアルバムに仕舞われ、部屋に遊びに来る友達のみが目にしてきた。

10年のうちに、ハクと一緒に世紀をまたぎ、大学生から社会人になった。あんなことやこんなこともあり、猫と同じくらいよく寝ていた生活から仕事で昼間に家を空ける生活になった。

その間もハクはずっとここにいて、爪を研いだりカリカリとご飯を食べたり(おそらくたっぷり昼寝をしたり)している。夜は湯舟のヘリに座って入浴を眺め、同じベッドで朝まで眠る。

彼は一部の人達の前でこっそり大人になり、いつの間にかハクの小さい日々は過ぎていた。
2007年秋。我々はお互いに10年分大人になったのだ。


本日の1曲
ダーリン / サニーデイ・サービス


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2006/10/11 『愛しのハク 〜ハクの宅急便編〜
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