想像力。

敬愛する表現者達の、そのまた敬愛する作家へとルーツを辿る道程は楽しみの一つである。例えば好きな小説に巡り会って、その作家の作品を全て読む。そしてその作家の敬愛する作家の作品を読んでみる。文中に登場する関連書籍をまた読んでみる。そうしていつまでもその好奇心の糸は途切れることがない。そしてまた最初に触れた作品に戻る道程に費やした時間にはとても意味がある。その道程にずるずると引き込まれていくのは心地のよい泥酔である。

敬愛する表現者達がどんな人物や事象から影響を受け今に至るか。そのバックボーンを知ることこそが面白い。自分にとっては偉大な表現者も、一個人であり自分と同じである。彼等の作品群はこの上ない親近感でこちらに語りかけてくる。

ライブには音楽を聴きに行くのではなくその生き様を目撃するために足を運んでいると言っても過言ではない。音楽の振動を体感しながら、集まったオーディエンスや彼等自身の想いを想像してみる。アーティスト達は自身の表現の可能性や、希望や、相反する無力さと日々対峙しているに違いない。そして自分と同じくその作品を支持し集まった大勢のオーディエンスにもそれぞれの生活風景がある。

想像することによって他人の存在を身近に感じることができる。そしてその想像の先にある何かに辿り着きハッとすることがある。最早その感覚は他人への感情ではない。

表現者達の発言に耳を傾けると、彼等がどんな経緯でその作品を発表しているかが手に取るようにわかる。そして歴代の作品に込められたテーマの一貫性を理解する。受け取る側の充分な想像力があれば不可能ではないが、目の前に差し出された作品だけで理解を得ることはやはり難しい。
作品は常に作者の心情を饒舌に語っている。だから出来る限り想像してみる。そうして敬愛する表現者達への好奇心はいつまでも尽きることがない。


本日の1曲
暗号のワルツ / ASIAN KUNG-FU GENERATION


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