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妙なあだ名の王子さま

午後のワイドショーはある記者会見の様子を放送していた。ここから画面は見えないけれど、騒々しい番組の内容でそれが注目の記者会見であることがわかる。
けれど妙だ。暫く聞いていても主役の名前が出てこない。その代わりに、ナレーションはハンカチ王子、ハンカチ王子、と繰り返す。主語はハンカチ王子のようだ。

とある選択を迫られた ”ハンカチ王子” は進学を決意したようだった。テレビ画面を覗き込むと、ボクトツとした風体の王子が映っていた。彼が来年入学するのは早稲田大学で、現在の彼には妙なあだ名がついていた。

向こうからやってきた同僚になぜ彼がハンカチ王子なのかを聞くと、彼女は額の汗を拭く動作をし、『こーやってやるんだヨ。』と説明してくれた。今更な質問に皆が親切に答えてくれる。
『青いんだよ。』
『そう、ハンカチが。』
『しかも畳んで仕舞うんだヨー!』

皆が好意的に彼を語り、その場でハンカチ王子を知らないのは自分だけだという事が判明した。今年、夏の甲子園は一度も見なかった。決勝は歴史に残る名試合だったらしいが、知った時にはもう遅い。冬季オリンピック開催時に起こったイナバウアーショックが蘇る。

たった今仕入れたばかりのニュースを告げると、そこにいた同僚達は興奮した面持ちで喋りだした。今は誰よりもハンカチ王子の最新情報を知っていることに得意気な気分になる。
『えっ!決まったの!?』
『へー、大学行くんだ!』
その選択は皆の関心事だったようだ。皆はハンカチ王子の決断について、真剣な表情で私見を述べ始めた。

早稲田実業高校の校舎が国分寺に移転した時、ちょうど国分寺に住んでいた。自席に戻り、隣に座っている同僚氏に国分寺市の地図を差し出し『ここ、ハンカチ王子の高校だよ』と言ってみた。内心ドキドキしながら発した『ハンカチ王子』というちょっと恥ずかしい言葉は、何の違和感もなく会話の一部になった。


本日の1曲
Come On, Ghost / The Pillows


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2006/04/01 『稲葉ウアー

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