食をデザインするDEAN&DELUCA



ここトーキョーには多くのお洒落ショップがひしめき合っている。近年のカフェブームや、家具ブームやらで以前に比べてセンスの良い店が増えたと思う。

店舗がオリジナリティーを発揮するのは簡単なように思えるが、街中のカフェは結局似たような店になりあまり印象に残らない。個人的好みで東京のカフェスポットを3つあげれば、神保町の『さぼうる』、福生市の『DEMODE DINNER』、恵比寿の『喫茶銀座』。そして3件ともがここ数年でオープンしたというわけではない。

そんなトーキョーにニューヨーク生まれの『DEAN&DELUCA』が上陸したのは約3年前である。現在は丸の内、渋谷の2店舗の展開。丸の内、青山、羽田にはカフェがある。渋谷店は改札を出てすぐの『東急のれん街』の中にあり、夕刻になると狭い店内は客でごったがえす。品川店も駅構内(アトレ内)にある。こちらは店内が広くカフェも併設されている。

まだ渋谷店がオープンする前、とある雑誌の特集を目にしてそのソフィスティケートっぷりに目を見張った。その空間を早く体験したい!と興奮状態で品川店に入店。
左にはカフェスペース、入り口右には花も売っているではないか。世界各国の紅茶やお菓子が並び、ピクルスやトマトペーストのピン詰めが色鮮やかだ。そのラベルを眺めているだけでも楽しめてしまう。

しかしながら一番目を惹くのはオリジナル商品である。値札や商品説明タグ、オリジナルのキッチンツールには最早「DEAN&DELUCA書体」というべきロゴが踊っている。

オリジナルのスパイスやお菓子は、シルバーグレーの小さな缶におさめられている。白いシールにブランドロゴと商品名が印字されているだけなのだが、そのさりげなさすら心憎いばかりである。

デリではサンドウィッチ、パスタ、ベーグルなどが扱われている。そしてまたもや不完全かつ完璧なパッケージデザインに唸る。商品を包むラップはロゴ入りのシールでラフに止められ、グレーのシンプルなデリボックスは食材の鮮やかさと質感を一層引き立たせている。この店では人工色は最小限に押さえられているようだ。(稚拙な絵柄がプリントされた容器で食べる料理ほど虚しいものはない。)

店内には大量の商品が陳列されているにも関わらず、そこにはちゃんと「マーケット」の雑多さが残っている。初めて品川店を訪れた時、友人氏と「すげぇ」を連発してしまった。突っ込みどころが無かった。

DEAN&DELUCAはガチガチのスタイルではなく、絶妙なサジ加減で、ラフにデザインをやってのけている。そこには「食を愉しむ」為のデザインがある。少し高い金額を支払ってでも持ち帰りたくなる特別感を演出できる店はトーキョーにだってなかなか無いのだ。


本日の1曲
Whats Goin On / The Louis Hayes Group


続けて読みたいエントリーたち

0 Responses to “食をデザインするDEAN&DELUCA”


  1. No Comments

Leave a Reply