麻雀にジンカク見たり!

大学生の頃、負けてばかりいる癖に麻雀の虜だった。今夜の計画が持ち上がったら、素早く人数を確保して開催場所を決める。大抵は友人宅で行われ、徹夜になるので開始時間も遅い。原付で友人宅へ向かい、途中のコンビニに立ち寄り飲料やおにぎりを調達する。
それから夜通し熱戦が繰り広げられ、大体朝8時くらいにお開きになる。煙草の吸い過ぎで肺が痛い。直視出来ない朝の光の中そのまま学校へ行ったり、家に帰って泥のように眠ったりする。

麻雀は運だけでは勝てない。牌をツモるのは運かもしれないが、ツモった牌を生かすも殺すも自分次第である。せっかく良牌をツモっても、その後の展開に生かすことができるとは限らない。

そして自分の押し進める「手」が危険な賭けに出る価値があるかどうか「場」を読んで判断する。相手の捨牌を睨みながら牌を切る。相手は相手が既に捨てた牌であがることがないが、明らかに危険な牌を切る必要に迫られることもある。その緊張感ときたら!
そして無謀な賭けを繰り返すと、持ち点が奪われ、気付いた時にはリーチ棒すらない状態に陥る。

麻雀の打ち方で個人の性格は露になる。気持ちよく勝つ人間と、いさぎよく負ける人間は歓迎されるが、勝ち方がセコかったり、負けると不機嫌になる人は場を白けさせる。度胸の無い人間は勝利出来ず、すぐに諦めてしまう人間はいつまでも負けを取り戻せない。

緑の卓を囲むと、どういうわけか初対面の人とでも会話が弾む。その日に都合のつく人をかき集めるため、知らない人と卓を囲むことも多かった。顔を突き合わせ、麻雀の動作をしながら身の上話を聞いたりしていると親しみが湧き、普段人見知りな自分も話がしやすい。そしていきなり麻雀で、初対面の相手であっても性質を察することが出来てしまう。

一日の対戦が終わると、卓上に現金が集められる。
大負けした日の朝、あまりの情けなさに部屋で一人で泣いていたところを突然訪ねて来た友人氏に目撃されてしまった。こちらの表情に驚く友人氏だったが、まさか麻雀で負けて泣いているとは言えなかった。その情けない朝の様は今でも語りぐさである。

雀卓を囲めば年齢、性別、職業は関係ない。誰とでも対当な立場になることが出来るからだ。
今は麻雀から離れてしまったが、その奥深さを一度知ってしまうと暫くは抜け出せない。


本日の1曲
SASU-YOU / Number Girl


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