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ナイーヴな三半規管

とにかく子供時代にはほとんどの乗り物で酔った。ガソリンスタンドはサービスのつもりで芳香剤を車に乗せるから余計に酔った。自家用車はもとより、バスやタクシーもたちが悪い。雨の日のタクシーを想像しただけでも酔いそうだ。

一度家族で伊豆旅行に行った時、アトラクション気分で航路を選んだことがあった。しかし船が沖へ出た頃には取り返しのつかない状態に陥っていた。

遊覧船と違い、地域交通としてのフェリーは容赦なくスピードを上げ、揺れまくる。ブンブン飛ばしまくる。堪らなくなってデッキへ出るが、船が揺れる度に海水が襲いかかり、デッキは水浸しだ。それに到着までにはまだまだ時間がかかる。
最悪のコンディションにきつい潮のかおりが追い打ちをかける。思い切り海へ向かって嘔吐し、吐瀉物は潮風に乗って海へ消えたのであった。

バスで出掛ける遠足もいつも気が重かった。酔い止めをのみ、梅干しをひっきりなしに食べ続けたが、やはり酔った。エチケット袋が透明なのも子供を不安にさせる要因だった。

電車も苦手だ。混雑して身動きできず車内の空気が悪いと確実に酔ってしまう。たとえ友人と一緒でも電車の中で会話するのも好きではない。乗車するといきなり喋らなくなるのを怪訝に思う人もいるかもしれないが、機嫌が悪いのではない。

自動車免許の取得は気が重かったが「自分が運転すると酔わない」という周りの意見は本当だった。初めての海外旅行の時、家族は飛行機酔いを心配していた。未知の乗り物の乗り心地は想像できなかったが、意外にもまったく酔わなかった。

乗り物酔いは大人になるにつれて緩和されるのか、最近はひどい乗り物酔いの記憶がない。長距離バスにはこれから先も乗ることはないだろうし、新幹線は必ず進行方向を向いて乗車する。遊園地のコーヒーカップも避けて通りたい。もちろんフェリーには金輪際乗らないつもりでいる。


本日の1曲
Pistola / Incubus

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