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『お疲れさまです。』の口

歩く度に『お疲れさまです!』と喋るスニーカーがあったらいい。
俯き加減で、伏せ目がちに歩くとそれっぽく見えるよ。
すれ違いざまに押せる『お疲れさまですボタン』を首に下げるのはどう?
あ、でも、あまり仕事していない上司には押してはいけないよ。
ははは。

毎日毎日、数百人の同僚と過ごしていると、挨拶がちょっと面倒になる。が、挨拶をやめるわけにはいかない。しかし一日で100回以上は繰り返される挨拶には少々マンネリを感じてしまう。

iPodの再生を停止し、片耳のイヤホンを外す。出勤してオフィスのエレベーターホールに到着した時から、挨拶をする心構えが必要になる。見知った顔の同僚達にはもちろん、時にはフロアボタンを確認し、同じ会社で働く人にも会釈をする。
中には全く挨拶をしないポリシーの人もいるが、会う人会う人全員に挨拶をするせいで、なかなか席に戻れないお人好しもいる。丁寧にお辞儀をしまくる人は、10秒前に顔を合わせたのも忘れているようだ。

『お疲れさまです。』というのにも飽きて『こんにちは。』や『おはようございます。』に変更したりするが、油断していると無意識に『お疲れさまです。』の口になってしまう。何年も続けてきた習慣はあなどれない。
挨拶をしないと決めてしまえば良いのかもしれないが、長い廊下をすれ違うまでの間、なんとなくソワソワしている相手の動向を見ると、お互い様なのだと納得したりする。

人に出くわすと条件反射で『お疲れさまです。』と言ってしまう。相手の顔を確認もせずにその言葉を発すると、実は相手がよく知った同僚だったりする。関係にそぐわない少々かしこまった挨拶口調に、気のゆるみを見透かされたような気分になる。

仕事が終わって帰宅する時、一日中惰性で発してきた『お疲れさまです。』という言葉はやっと自分に向けられる。
(お疲れ!自分!)と意気揚々と入店した居酒屋の廊下で店員氏に出くわす。そしてまたしても条件反射で『お疲れさまです。』と言ってしまう。


本日の1曲
土星にやさしく / ザ・クロマニヨンズ

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