さぼうる

初めて入店したのは大学3年生の夏だった。偶然にも同じ文庫本がお互いの鞄に入っていたからよく覚えている。その日は本好きの友人と神田散策に繰り出し、それまで名前しか知らなかった街を二人で歩き回った。
知らずに入店した古書店がアダルト誌専門店だったり、手に取った文芸誌に友人の書いた詩が掲載されていて驚いたりしながら街を歩いた。そしてその日に初めてさぼうるに入店したのだった。

今思えばその時入店したのは『さぼうる2』の方だった。2は食事がメインの分店のような存在だろう。今夜はまだ食事をしていなかったので、まずは『2』で食事をすることにした。すぐ隣にある本店は喫茶と軽食、夜はお酒が飲める。

会計を済ませ、一旦店の外に出、5メートルと離れていない本店に入店する。半地下の席につき、アイスカフェオレを頼む。

耳のイヤホンを外すと、隣のテーブルに座った大学生らしき風体の男女の会話が聞こえてくる。彼は意気がっている同級生を批判していた。口を尖らせて子供みたいな顔をしている。それに対して冷静な意見を述べる彼女。彼はなかなか彼女の心を掴めないようだったが、最後は流行りの音楽の話で和解したみたいだった。

この店は半地下がいい。店内の煉瓦の壁はびっしりと落書きで埋まっている。そして大抵はメッセージの隣に日付が添えられている。
”幸せになります”
”○○さん 大好き”
”合格決定!”
”このコイ のがしてなるものか”
”アホバカ2人組参上”

ブラウニー色をした年代物の煉瓦に、白いペンで書かれた手書き文字。今ではあまり見かけない相合い傘の絵柄に懐かしい気分になる。誰が始めたのかはわからないけれど、そうやって様々なメッセージが一面に書かれている光景は面白い。
今でも落書きが許されているのか、今度は是非聞いてみようと思う。そして出来ることならば少し先の年月を思って、自分の文字を書いてみたい。


本日の1曲
Nobody Puts Baby In The Corner (Acoustic Version) / Fall Out Boy



さぼうる
9:00〜23:00(L.O.22:20)
日曜・祝日定休

千代田区神田神保町1−11 
東京メトロ半蔵門線神保町駅A7出口より徒歩1分
Tel 03-3291-8404

続けて読みたいエントリーたち

0 Responses to “さぼうる”


  1. No Comments

Leave a Reply