ニューヨークの暖かい冬

ニューヨークの友人宅を訪問した時、外は零下にもなるというのに部屋の中は非常に暖かかった。窓際のヒーターが時々シューッ!と勢いよく蒸気を噴出している。慣れていないと体がビクッとするくらいの勢いだ。寒さが厳しいニューヨークでは賃貸物件のオーナーに暖房器具の設置と、一定の室温を保つ義務が課せられているらしい。

しかし部屋の中にコントローラーが見当たらない。友人氏は、オーナーが一斉に操作をしているのだと言った。つまり大家がスイッチを入れなければ運転しないということだ。稀に「寒い日」もあるらしいが、ヒーターのお陰で家の中は春の陽気が保たれていた。真冬でもTシャツ一枚で快適に過ごせる。時々窓を開けないと暑いくらいに暖かかった。

その暖かさを経験してしまったら、暖房環境を考え直さざるを得ない。エアコンの乾燥した温風がもやっと頭上をうずまく感覚が好きではなかった。それまではエアコンと電気ストーブを併用していたが、電気ストーブは低温火傷の経験があるし、ベッドサイドに置いて知らないうちに布団が焦げていたこともある。ストーブの近くにいた猫すら焦げた。それに電気ストーブでは部屋全体が温まらない。何と言っても目指していたのはTシャツで過ごせる暖かさだったからだ。

暖房器具購入の検討を始め、結局オイルヒーターを購入した。ニューヨークで見たラジエーターヒーターに形状が似たルックスは期待を抱かせた。
ニューヨークの友人邸にあったのはスチームを噴出する温水ヒーターだったが、輻射熱で部屋を暖める暖房形式が同じだった。空気が汚れず、風も出ない、猫も焦げない。中のオイルは交換の必要もない。

しかし、当時住んでいたのは木造アパート。熱を蓄積しない木材では輻射熱は期待できない。当初ヒーターの威力に過大に期待していて疑いもしなかったが、当然ながら木造アパートでは暖房効果が発揮されなかった。
現在の鉄筋マンションに移ってからも効きに不満が残った。折角だから使ってみるが、暖まらない。ニューヨークの冬には程遠かった。結局つけっぱなしになり、エアコンと併用するようになった。半端な状態であるにも関わらず、冬場の電気代は1万を軽く超える。

そして先日ガスファンヒーターを購入した。コストパフォーマンスや立ち上がりの早さで知人に勧められたのだった。
ニューヨークの暖かさを忘れられない人間の、あくなき住環境の追求は続く。


本日の1曲
Did I Say / Teenage Fanclub


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