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Barneys Syndrome

この季節になると、新しいマフラーや帽子が欲しくなる。ショップに入店すると目についた商品があった。広げたりひっくり返したりする。価格も手頃で、品質にも特に問題はない。色もデザインも好みであるのに、コレといった決め手がない。店内を周回しながら購入を考えあぐねているといつも同じことを思ってしまう。
(もし同じものがバーニーズにあったなら・・・)

BARNEYS NEWYORKは1923年創業の老舗デパートメント。有名ブランドから若手デザイナーの前衛的なブランドまでが揃う。国内にも直営店(銀座、新宿、横浜)がある。

以前ニューヨークに行った時は鼻息荒く入店した。ゴトゴトと音を立てる旧式のエスカレーターをあがると、フロアには色とりどりのニット帽がディスプレイされていた。見ると200ドル前後のものが多く、決して買いやすい値段ではない。

しかしながら大切にディスプレイされた帽子達は確実に魅力的だった。大切に扱われた商品は購入意欲をそそる。ひとつひとつの商品にはゆったりとしたスペースが与えられ、遊び心のあるディスプレイに惹かれた。
その中に気に入った商品があれば無理してでも購入しただろう。何度もフロアを往復し、後日あらためて売場を訪れるかもしれない。
そういう時、人々は「運命」という言葉を軽々しく用いて購入に踏み切ってしまう。

実は買い物をする時、価格が手頃なのはたいした理由にはならない。同伴者が見掛けに寄らない高額な商品に眉をひそめても、気に入ってしまった本人の耳には届きにくい。価格は商品の魅力のバロメータである。購入意欲は価格とは無関係に訪れる。

少しだけ高額なプライスカードの存在は(やっぱりいいよね!)と自分を納得させる作用があり、購入した後はいい買い物をしたという実感が生まれやすい。(似たようなの持ってるし・・・)が(イヤー、この違いは大きいネ!)になる可能性がある。
プライスカードにはその売り場の雰囲気も、購入に踏み切る時の心情も含まれているからだ。

購入まであと一歩という商品に出会った時はいつもバーニーズのフロアを思い出す。もしもそこがバーニーズのフロアであったなら多分少々無理をしてでも買ってしまうだろう。


本日の1曲
It Ain’t Over Til It’s Over / Lenny Kravitz

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