ANDY WARHOL

イタリアに旅行に行く知り合いのお姉さんに「おすすめの美術館を教えて」と言われ、わかんないなーと答えると彼女は不思議そうな顔をした。それはおそらく自分が美術大学出身だからである。

美大生は常に絵の具にまみれているわけではないし、必ずしも絵画に詳しいわけではない。
高校の美術の授業で、名画の解説ビデオを見た後に皆の前で感想を述べなければならなかった。その際「たとえ名画と呼ばれる作品を鑑賞しても、その何億という作品価格にしか興味を持てない」と発言した。何も言わずに頷いていた美術教諭氏。彼は油絵画家である。
実はその頃、途方もない時間をかけて描かれた名画の大作よりも、ポップアートに魅了されていた。特にアンディ・ウォーホルの作品に。

難解で、おそらく今読んでも意味の分からない現代美術の本を読み、作品集をめくった。東京都現代美術館で回顧展が開催された時は、ひとり新幹線で上京した。作品前のソファに腰かけ、巨大なマリリンの連作を眺めながらニューヨークに漂う空気を想像した。

彼の作品の手法はこれまで見知っていた絵画とは大きく違っていた。彼は”FACTORY”と呼ばれたアトリエでシルクスクリーンを刷り、作品を”生産”した。

マリリン・モンローやキャンベルスープの作品は誰もが目にしたことがあるのではないだろうか?それはアメリカのスーパーマーケットに陳列されているごくありふれた品物であり、誰もが知っている有名人であった。しかし彼の場合、他のアーティストとは違い、大量消費社会やマスメディアに対するアンチテーゼを提唱しているのではなかった。

アンディはそれらを心から愛していた。
そのアメリカ的な文化を。
”東京で一番美しいのはマクドナルド
ストックホルムで一番美しいものはマクドナルド
フィレンツェで一番美しいものはマクドナルド
北京とモスクワにはまだ美しいものがない”

そのセンセーショナルな登場で一躍有名になり、彼はアート界のポップスターになった。
ミュージシャンやファッションデザイナー、売れない俳優からホームレス、ゲイフレンドまであらゆる種類の人々が彼を取り巻いた。アンディは彼等を”スーパースター”と呼び、自分の映画に出演させたり作品のモデルにした。

『誰でも15分間だけは有名になれる』という彼の言葉は有名で、オリジナルの哲学を感じる好きな言葉だ。そして今や、アンディ自身が80年代のアメリカの象徴的なアイコンになった。(彼はやはりそれを望んだだろうか?)

ポップアートとオルタナティブロックとの出会いは衝撃的で(こんなものがあったのか!)と田舎の高校生は自室でひっくりかえった。
それまでとまったく違った価値観を見せつけられると往々にして虜になってしまうものだ。
しかし残念なことに、そこまでのサプライズにはなかなか出会えない。


本日の1曲
I’m Waiting For The Man / The Velvet Underground




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○ANDY WARHOLに関するおすすめ書籍○

ぼくの哲学
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アンディ ウォーホル, Andy Warhol,

「その日コマーシャルで見たものを全部買いに行く」
暇つぶし方法や「高級レストランで嫌いなものだけを
注文し、帰りにごっそり通りに置いてくる」というダ
イエット方法も紹介。(彼曰く、ホームレスの食料に
もなるし一石二鳥らしい)。
役に立つかは気分次第。アンディ流哲学。


ウォーホル日記
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パット ハケット, Pat Hackett,

毎朝電話をかけてくる「日記係」との会話を記事にお
こしたもの。夜な夜なパーティーを渡り歩く華やかな
場面も魅力的だか、その合間にこぼす自意識過剰な独
り言がアンディらしい。

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