愛しのハク 〜3時間のショートトリップ編〜

高円寺から中央線に乗車し東京駅へ、そこからは東海道新幹線で静岡まで高速移動し、更に東海道線に乗り換えて約30分。東京の自宅から実家の玄関までは約3時間。
ネコ氏はその間、不服そうだ。

まずは最寄り駅の緑の窓口で新幹線のチケットを購入する。盆や年末はやはり混み合う。
ネコの鳴き声を聞いた人々の反応は面白い。まずキョロキョロする。人間の目線のまま辺りを見渡してみる。人々が気のせいか、と思ったところでネコ氏がまたひと鳴きする。ミャー。

絶賛不服中のネコ氏はこの時点ではまだ結構鳴く。狭いキャリーバックの中を落ち着かない様子。体勢を変え続け、外の景色に目を丸くしている。
列に並んでいる人々は財布の中身を確かめたり、持参した時刻表に見入っているが、ネコ氏が鳴くたびに集中力が途切れる様子で目をぱちくりしている。

新幹線の切符を受け取ったら、改札脇のカウンターに向かい、手回り品の札を買う。実質的なネコ氏の乗車券は280円。買っても買わなくてもとがめられることはないけれど、なんとなく”ネコ権尊重”のために購入することにしている。
札には針金がついていて荷物に装着できる。ネコ氏のキャリーバッグに札をくくり付けたら改札を通過し電車に乗り込む。

堪忍したのかネコ氏はこの時点からあまり鳴かなくなる。しかし電車が停車するのを見計らったようにひと声。
食べ終わった駅弁の焼き魚の皮をバックの隙間から差し入れすると余計に機嫌が悪くなった。

ネコを連れていると結構色んな人に話しかけられる。
『あらァ、可愛いネコちゃん。・・・(凝視)このコ何猫?絶対洋種が混じってるわよ。品がいいお顔ねェ!』(山の手マダム)
生粋の日本猫の母と、どこの骨か知れない野良猫との息子なのだけど、とりあえずオホホーとつられて笑っておく。こちらまで口がすぼまってしまう。

『なんや猫かい!猫はナンボで乗れんのヤ?おぉ、安いのぉ!ワシも猫になりたいワ!!ガッハッハ!!』(怖いおじさん)
いかにもその道の方に話しかけられたりもする。サササと素早く移動し安全を確保する。

子供達はもそもそと動くネコ氏を容赦なく凝視した後、そっと母親に耳打ちする。他にも『獣医さんですか?』『昔ネコ飼ってましてネ・・・。』などから話が発展することもある。

ネコ氏の乗車券には乗車日と発行箇所の判子が押されている。国分寺駅、高円寺駅、島田駅。ネコ氏と暮らしてもうすぐ9年。思えば何十回も移動を繰り返してきた。それぞれの故郷に帰省する友人達を横目に、今は盆の高円寺。


本日の1曲
旅の手帖 / サニーデイ・サービス


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