表参道ヒルズ


先週遂に表参道ヒルズがオープンした。大学生だった頃から同潤会青山アパート跡の建築計画は度々メディアに取り上げられていた。同潤会アパートのファンは多くその成り行きは自分も気になっていた。

同潤会アパートは戦前に建てられた国内初の鉄筋作りの集合住宅である。外壁をツタに覆われた重厚な様はまるで外国の古い建物のようだった。付近に華やかなブランドの路面店が並ぶ中、まさに時空を越えた存在としてそこに在った。
今日の夕方、思い立って表参道ヒルズに出かけた。

表参道からヒルズ内のショップに入店できるようになっているのは予想外だった。通りから気軽にアクセスできるのが自然に思えて好感を持った。
初めて六本木ヒルズを訪れた時は、そのつくりの複雑さに辟易した。広大な敷地面積がそうさせているのかもしれないけれど、行きたいショップになかなか辿り着けない!という事態に陥り、探索を諦めた経緯がある。
この表参道ヒルズの設計者、安藤忠雄は世界の名だたる建築家と同列で語られる存在である。期待が高まる。


地上3階、地下3階の吹き抜けが美しい。表参道のケヤキ並木の景観を損なわないよう、地下を掘削することで建物の高さを押さえている。壁と天井で空間を区切るという選択が最初からなかったかのような(これじゃなきゃだめだ)感がある。
館内はなだらかな斜面になっており、エスカレーターを使わずして全ての店舗を一巡できるようになっている。斜面の角度も表参道の傾斜と等しいそうだ。そして同潤会アパートの一部はヒルズに内包される形で残っており、周りの環境との調和が建物の重要なコンセプトであるのが伺える。

数カ月分の家賃に相当するJIMMY CHOOのバックの魅力に悩まされながら館内を歩いていると、いつの間にか地下3階に降りてきてしまった。再度エスカレーターで地上3階へ上がる。

建物の存在価値は人間を含んでこそ。そこに集まった人々は実にファッショナブルでその空間の完成に加担していた。街ごとに集まる人の種類が異なり、自分に適した場所を見つけることができるのは東京という都市の魅力のひとつだ。表参道には表参道的人間が集まる。

DOLCE & GABBANAの店内にはデニムの着こなしが僭越な若者がベンチに腰掛けている(彼はきっと会計を待っている)。上品な扉でそっと入り口を閉ざしているHARRY WINSTONは顧客と内緒話をしているようにも見える(入店できるのは予約客のみだ)。こんなラグジュアリーな空間では警備員ですらポケっとした顔をしていると浮きそうである。

現代の東京に、いかにもトーキョーらしいランドマークが誕生した。


本日の1曲
Why Not? / Fantastic Plastic Machine


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