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ヨコハマ・トルネード

友人が鎌倉に引越をした。その友人のナビゲートで横浜に赴いた。最後に横浜に行ったのはまだ静岡に住んでいた高校生の頃だ。上京してからは縁がなく、ちょっとした小旅行気分で横浜に向かった。昼間から街を散策するなんてヘルシーだ。横浜駅で待ち合わせをした友人と中華街を目指す。

海兵達のパレードでごった返す通りを抜けると中華街に出た。中国人のあまりの素っ気なさに喝采しつつ、店を出て山下公園まで歩く。ずっしりとした首都高の高架が頭上に走り、ベイブリッジが遠くに見える。こういう海の近くの大雑把な風景がとても好きだ。

土曜日の山下公園はとても賑わっていた。海の見える芝生の上で昼寝をする人やベンチに腰掛けて読書をする人もいた。自宅から歩いてここに来られる人はきっと休日を有意義に過ごせる。海を眺めるのは静岡に帰省した時くらいなものだ。そして普段の自分の休日のインドアぶりを思い出し彼等を羨ましく思った。

若者のグループが円になって歌を歌っていた。アコースティックギターの音も聴こえる。彼等は50人ほどの大円団で、しかも曲目は吉田拓郎の『落陽』だった。なんの集まりなのかが非常に気になった。そして久々に聴くメロディーにこちらもフフンと鼻歌で参加しながら海っぺりを歩く。

大型船の前でハンドマイク片手に歌謡曲を熱唱している女性がいた。バブルをタイムリーに経験したであろう年齢の彼女は超ミニスカート姿で茶色い髪を振り乱し、アイドル的な微笑みを振りまいている。脇には立派なスピーカーが据え付けられていて無許可でやっているような雰囲気はない(横浜市公認のアイドルなのだろうか)。その場にいる大勢の人は好むと好まざるとに関わらずその歌を聞くことになる。彼女の写真を撮っているおじさんや彼女の近くで突っ立っているおじさんがいた。ファンなのだろうか。大多数の奇異の目に臆することもなくアイドルは溌剌と歌い続けていた。

ビルの合間に見える観覧車は横浜のランドマークだ。存在は知っていたが実際に来ることは初めて、という場所のオンパレードにテンションが上がる。コスモワールドは見事な都市型遊園地だった。夕暮れのビル群にアトラクションのイルミネーションが鮮やかだ。
アトラクションはどれも空いていてすぐに乗ることが出来るのもいい。目の前にくねくねと螺旋を描くピンク路の線路を見やり、ジェットコースターに乗ってみることにした。
そそくさとチケットを購入し階段を上がる。見下ろすとそのピンク色の線路はプールの真ん中の不気味な穴に突っ込んでいる。どうやら地上からこの穴めがけて突っ込むようだ。見なければよかったと焦る。ギブアップ寸前の友人氏を必死に丸め込み搭乗した。荷物をロッカーに預け、帽子を脱ぐ。

ゴトゴトと最初の山を登り始めた。トワイライトの景色は確かに美しかったが、それどころではない。もう10年以上ジェットコースターに乗っていないせいで自分の高所恐怖症を忘れていたのだった。ゴゴゴ!!と急カーブの線路に豪速で滑り込む。車両の点検はちゃんと行われているのだろうか?もし車両が線路から離れてしまったら海に放り出されるよな?もう乗ったから仕方ないよな!頑張れコスモワールド!と次々に沸き起こる不穏な妄想を追いやる。

そして搭乗前に見た不気味な穴に向かって・・・落ちる!!グググイと安全バーに体を押しつぶされ思考が停止した。非常に、非常に恐ろしかった。考える暇もなく自らの人生にグッドバイを告げてしまったような瞬間だった。

そして恐怖から解放され、異常に饒舌になった我々は小一時間ジェットコースターの運転を眺め続け、他の客の絶叫を聞いてはユカイに笑った。

初めてに近い感覚で横浜の街を探索した充実した休日だった。そして思っていたよりも横浜の街は多彩であった。湘南新宿ラインを使えば、新宿〜横浜間を30分で移動することが出来る。行きも帰りもウトウトしている間に到着してしまった。人々が便利だと賞賛する路線なだけはある。そして次回はまた違うアトラクションに乗ってみたい、と懲りない自分である。


本日の1曲
KILLER TUNE / ストレイテナー

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