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ノーコントロールZZZ

ある朝、隣で寝ていた友人氏は突然「やめて!」と叫んだ。はっきりとした発音で意志を感じる言葉だ。慌てて起き上がり「どうした!?」と聞くとなんだか様子がおかしい。言葉を発した感触は残っているらしいが、何を話したかは思い出せない様子だ。つまりそれは寝言だった。
そういえば前日、彼女に人間関係のいざこざを打ち明けた。夢の中で自分を弁護してくれたのかもしれない。たかが寝言だが、まるで脈絡が無いわけでもない。

小学生の頃は祖母と一緒に寝ていた。祖母は布団に入ると驚くべき早さで寝てしまうから、先に寝た記憶が殆どない。それまで寝言というのはムニャムニャと”なんとなく聞こえるもの”として認識していたが、祖母はまるで起きているかのように話し出した。

出だしは唐突なものの、口調ははっきりしているしこちらに同意を求めているようにも聞こえる。寝言と気付かずに返事をすると、返事が無い。いびきをかいているところを見ると、そうやらそれは寝言だったようである。
こちらの大爆笑で祖母は一旦目を覚ますが、ちらりと孫を見遣った後、再び眠ってしまう。寝言と気付かず、それなりに真剣に返答を考えていた自分を慰めてやりたい。

その上、祖母のいびきはうるさく、隣で寝ていると気になって眠れないことも多い。そして祖母は自分のいびきで起きる。
徐々にいびきのボリュームが大きくなり、くるぞくるぞと思っていると、ある瞬間ハッと目を覚まし、驚いた様子で「何!?」と言う。まるで他人事のようにびっくりしている。
「何って自分のいびきで起きたくせに!」と笑うと、祖母も笑い、次の瞬間にはもう寝ている。

ある友人氏は「ヒレカツ買って来て」という寝言を聞いたと言う。「夜中だからトンカツ屋やってないよ」と返したそうだが、今でも覚えている傑作である。寝言には意外と生活感が溢れている。

考えてみれば、無意識のうちに喋っているというのは奇妙な状態だ。普段いくら発言に気をつけていても、寝言まではコントロールできない。


本日の1曲
Forever And Ever / Mew

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