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彼女の魔法の薬

久し振りに会った彼女のキメの整った肌に驚いた。昨年夏に会って以来の再会だったが、滑らかで色ムラのない肌はいくら上手いメイクをしても作れるものではない。会わないうちに彼女はなにを施したのだろう?思わず問いつめたくなるような美肌だった。

彼女は某有名ブランドの基礎化粧品をフルラインで使っているらしい。実際に肌の綺麗な彼女を前にして、その効果に見入る。聞くと昨年から化粧品を切り替えたという。確かな効き目でロングセラーを続ける”信頼できる”ブランドだ。そして勿論高価である。しかし、彼女の肌を見入れば見入る程ものすごく説得力があった。

あくる日、周りの女性陣にその事実を告げた。一様に彼女達の目は輝き、こちらの言葉を聞き逃すまいと大きな目を更に見開いている。そして話し終わってからも暫く『へぇ・・・そうなの・・・』と繰り返している。

カウンターで商品のサンプルを貰った友人は大喜びだ。彼女は”それ”を使えば綺麗になるものと信じ込んでいる様子で、早く試したくて堪らないらしい。綺麗になったその後の妄想にまで話が膨らんでしまっている。顔はほころび、まるで魔法の薬を手に入れたみたいだ。

数日後、友人氏はより自分の理想に叶った基礎化粧品に出会ったようだった。彼女はあらゆる場面でその化粧品がいかに優れているかを力説している。皆が熱心に聞き入り、またしても女性陣の話題をさらっていた。これが口コミというやつなのだナ、と妙に感心する。

より時間をかけ、効果を実感しようと丁寧に肌をいたわる。一概に高価な化粧品が良いとも言い切れないのだろう。しかし「高価なものを使っている」という自己満足が一層スキンケアの時間を濃密にさせる。

その快感を知ってしまうと、もう今までの化粧品には戻れない。コスメジプシーの幕開けだ。ピーリングに顔を真っ赤にしても尚、彼女達は貪欲である。


本日の1曲
El Scorcho / Weezer

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