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東京の子供

紺色の上品なブレザーを着て一風変わったランドセルを背負った小学生や、日能研のNリュックを背負った小学生を時々見かける。東京の小学生だ。
自分が小学生の頃、両親と訪れた東京のホテルの窓からは、学校のグランドが見えた。小学校か中学校ではないかと思われるのだが、せめぎあうビルの合間に縦長の校舎が建っていた。

自分が静岡で通っていた小学校にも、中学校にも裏山があった。周りは田んぼと民家に囲まれ、グランドには一通りの遊具や百葉箱があった。どぶに手を突っ込んでおたまじゃくしを捕まえたり、川沿いに咲く彼岸花を摘んで家族へのお土産にし、通学途中にザクロをつまんで食べたりした。学校の体験実習では目の前の田んぼでは田植えをし、茶工場に行って手で茶葉をこねくりまわした。

窓ガラスに顔をくっつけてグランドに見入るが、その都市型のグランドには遊具さえ見つからなかった。ビルの屋上にグランドがあったのでは思いきりボールを蹴ることもできないはずだ。野球部はどうしているんだろう?

東京出身の友人氏に聞くと、運動会のリレーは近くの路地もコースに含まれるのだという。グランドだけでは距離が足りないのだそうだ。グランドも第一、第二といくつかに分散されていてひとつひとつは大きめの庭くらいの広さしかないらしい。

高層ビルから見下ろす東京の街には驚く程緑が少ない。肩を寄せ合うようにして密集した集合住宅のひとつひとつに東京の子供が住んでいる。

複雑に入り組む地下鉄を乗りこなし、満員電車では行儀よく沈黙する。東京の子供はそれを普通にやってのけるが、田舎出身者としては驚くばかりである。


本日の1曲
YARUSE NAKIO の BEAT / Number Girl

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