健康的な光合成

元来の色白に加えて、夏が大嫌いな小生、日焼けとは無縁の生活である。
高校生の時、母親の実家のある伊豆で海水浴を楽しんだ。父親もバナナボートにまたがり、ヨットから海に飛び込む。浮き輪の輪っかに座って見上げる真っ青な空。太陽光が水面に反射し、目を閉じても瞼に焼き付く光線の粒。
夏だ、これぞ夏休みだ!

悲惨だった。その時急激に浴びた紫外線の脅威に気づいていなかったのだ。
日焼け止めもサンオイルも塗っていなかった肌は赤く腫れ、熱をもって体中のぼせるようだった。洋服を着ることもままならないし、本来ありがたい筈の温泉すら拷問のようだ。

同じく海ではしゃぎまくっていた親戚一同、日に焼けているのは同じなのに、皆は呑気にテレビを見て楽しそうだ。気休めにローションを塗るが、急に症状が緩和されるわけもない。

皆が寝静まっても、横になれずに壁際に突っ立っていた。かろうじて来たTシャツの衣擦れを回避すべく、両手を広げる。月明かりに照らされた部屋で、かかしのように惨めな自分。
それからの数日間はただ耐えるしかなかった。

以降あれ程の日焼けはしていない。無邪気に遊びまわることもなくなり、インドアな夏嫌い人間に拍車がかかってしまった。海にも、プールにも出かけず、真夏は日が暮れてからの活動を決め込んでいる。通勤も屋外を歩く時間は10分に満たない為、日に焼けることもない。

先月末のフジロックで久々に日焼けをした。額は帽子の跡に日焼けし、鼻の頭の皮が剥けた。赤ら顔で東京に帰ってきた自分を見て、『tasoも日に焼けるんだネ』と友人氏は感心したように言った。
小麦色には程遠い。けれど、うっすら焼けた腕に久々に光合成をした気になって、少し満足している。


本日の1曲
T-Shirt Suntan / Stereophonics


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