揺れるフィーリン語

電車に乗って暫くの間、無意識に中吊り広告を眺めてしまう。下世話な週刊誌の見出しも旬の人を確かめるのに役に立つ。
しかし自分にとって芸能人のスキャンダル以上にスキャンダラスなのは実はファッション雑誌の見出しなのだ。『可愛げゆるヘア』や『最旬コーデ着やせ祭り』などという文言を目にする度に脱力してしまう。

残念なことに、最近若者に対してジェネレーションギャップを感じることが多い。考えてみればもう子供がいても不思議ではない年齢になっている。面倒で時間のかかるものは淘汰され、今や生まれた時点でデジタリスティックなこの世界。そうやって考えてみると一気に若者との隔たりを感じてくる。

言葉は省略されてどんどん短くなり、妙なアクセントがついている。とにかく彼等の言語はフィーリング重視なのだ。
大して驚いていなくても『マジで!?』と大げさに聞き返し、以下『ヤバイ』やら『ビミョー』やらの単語が続く。新解釈の日本語を操る若者を見ているとかつて自分が浴びた『大人達の憂鬱』が少し理解できる。

中でもファッション雑誌の言葉の滑稽さは群を抜いている。『チープリ』はチープでリッチかと思いきや、チープでプリティーなことを言っているようだ。
それは誌面のインパクトを最大限に考慮したぶっ壊れた言葉達なのだ。ティーンエイジャー対象の雑誌に限らず、我々のすぐ下の世代が読むのであろう雑誌にまで用いられている。まるでこの自分が日本語崩壊直前の最後の世代なのではないかと思えるほどなのだ。

確信犯的にぶっ壊れた日本語を生み出す高学歴の編集者。彼等が生み出したぶっ壊れた言葉達が今日も中吊り広告にそよいでいる。そしてとうとう自分にも若者言葉がわからない時代が来たと実感するのである。


本日の1曲
真っ昼間ガール / Number Girl


続けて読みたいエントリーたち

0 Responses to “揺れるフィーリン語”


  1. No Comments

Leave a Reply