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彷徨える左手

困ったこれもだめか。
そうかDockは無いんだった。
ところで日本語入力はどこで切り替える!?

さっそく立ちはだかったのはMacとWindowsの壁、である!
その壁がここまで切実に迫ったことはない。

入社当日、自分のデスクに案内されるとそこにあるのは真新しいコンピュータマシン。その存在にテンションがあがる。これからはこのマシンが頼もしいパートナーとなってくれるだろう。
しかしその喜びも束の間。最新のオペレーションシステム、Vista搭載のそのマシンは言うまでもなく”Windows”なのである。

IT企業に転職して一週間。異業種への転職は、何もかも勝手が違う。なにより驚いたのは、受信メールの多さだ。社内外問わずメールは1日に軽く100通を超える。重要かつ緊急の報告も含まれているため、仕事を進行させながらもそれらのメールに逐一目を通さなくてはならない。
プロジェクト毎にメーリングリストは用意され、それぞれの仕事の進行状況が報告される。ミーティングや面談の予定も全てメールのやりとりで決定される。隣に座っていても、目の前に座っていても、コミュニケーションは基本的にメールクライアントを介す。

インターネットでの情報収集も仕事のひとつである。入社に際しての紙資料の配付は最小限に抑えられ、書類の申請や庶務関係に至るまで社内のルールは情報は全て社内Wiki(文書を投稿後、追加・書き換えが出来、社内で情報を共有できるシステム)に記載されている。何から何まで、ウェブブラウザを操れないことには業務が進まない。
慣れないウェブブラウザに戸惑い、Wikiを確認する精神的余裕無きまま、入社日から怒濤の業務に就いた。

ところで、会社のWindowsマシンで使用しているメールクライアントはThunderbird、WebブラウザはInternet Explorerである。自宅ではここ何年もインターネットブラウザはSafari、メールクライアントはMailを使用している。どちらもApple標準のソフトウェアである。

20歳の時にMacを購入して以来、Mac一辺倒で今に至っている。美術大学に通っていたせいか周りの友人知人も皆Macを使っていた。その後、カラフルなiMacが発売されて周りのMac所有率は更に高くなった。大学内でWindowsマシンを見かけることもほとんどなかった。まるでMac以外の選択肢は初めからないみたいに。

Windowsマシンを前にして初めて、自分が「普段からショートカット(コンピュータに少ないキー操作で指示を出す方法)を結構使っている」ことに気がついた。メニューバーのプルダウンを彷徨うより、ショートカットを覚えた方が操作が楽で、効率が良い。しかし困ったことにWindowsとMacintoshではショートカットキーが異なる。

Mac OSXではブラウザの上方バーをダブルクリックするとウィンドウは瞬時にドックに吸い込まれるし、command+Hでアプリケーションを一時的に不可視状態にすることも出来る。command+Hのショートカットは複数のウィンドウを展開するウェブブラウジングには欠かせない。個人的にはコピー(command+C)&ペースト(command+V)に次いで使う頻度が高いくらいである。

右手はマウスに、左手はcommandキー周辺に。ショートカットを使いこなし、インターネット閲覧には慣れているつもりだった。閲覧時間が長ければ長い程、無数に開いてしまうウィンドウも用が済んだらcommand+Wで素早く閉じる。ひとつのページ毎にひとつのウィンドウが開いている状態が「好み」で、最近の主流であるタブブラウズ形式には慣れていない。

まだ慣れない職場環境に加えて、マシンの操作がままならないことでじわじわと焦りが襲う。そしてその間にも続々と仕事の依頼メールが到着する。ショートカットは弾かれ、思いも寄らない別の指令が下される。その度に展開される心当たりのないウィンドウを何度も閉じながら、いたたまれない気分になる。
今、この瞬間に完全にインターネット初心者に成り下がっている!

帰宅してから調べてみると、Windows OSにおいて、ショートカットの要となるのは「command」キーではなく、「control」キーであるようだった。
その翌日、機転を利かせてcontrol+Hを押すが、履歴が表示されるだけで画面は隠れない。「H」はHideの頭文字、Historyが見たいわけではない。

この一週間Windowsと格闘し続けたおかげで、自宅のMacでショートカットを試みる際、無意識に左端のcaps lockキーに手がいってしまうようになった。それはWindows必死に覚えたcontrolキーの指ポジションである。もちろん、それを押してもMacでは何も起こらない。ただ虚しいエラー音が今宵も鳴り続けている。

自己紹介と歓迎会ラッシュは過ぎ去った。しかしWindowsには今だ困惑しっぱなしである。


本日の1曲
Over And Over Again (Lost And Found) / Clap Your Hands Say Yeah

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