ジェイミーのしんぱいごと

もうずっと前、僕には大切な友達がいた。僕らは毎日のようにいろんなことを話してた。
そのころは家族や勉強の悩みは一大事だったし、大人になったらしたいこともたくさんあった。大好きな本や映画の話もよくしたな。

不思議なことにいくらでも話したいことは見つかったし、意見がくい違ってもあんまり気にしなかった。(たまに頭にくることもあったけど)
僕らはベッドカバーの柄や嫌いな俳優の髪型や ”つまようじ” だって話題にした。身の回りにあるものはすべて語り尽くしたんじゃないかって思うくらい。

友達は僕が知らない場所の話をよくしてくれて、そのとき想像した景色は今でもよく覚えてる。濃い色をした空と、その下を走るハイウェイ。見たこともない広くて長い道を僕は思い浮かべることができた。

そんなわけで僕と友達は “ある期間” をとても親密に過ごしていた気がする。
僕らはリラックスできる相手をやっと見つけた同士って感じだった。

友達は困ったことがあると遠くからでも僕を呼び出した。大事な用事をすっぽかしたのに気付いて焦ってるときも、ギャンブルで大儲けして取り乱してるときも。いちばんに僕に報告してきたもんだ。

そういうとき僕はいつも通りに相づちを打つ。ひと通り話し終わると、友達はなんだか慌てたみたいに帰ってくんだ。振り返りもせずにまっすぐに。

ぼくはその友達がほかの人といるところをあんまり見たことがなかったけど、友達は気にしていないみたいだった。「記憶喪失になってもきみがいれば大丈夫だ」って笑った。

友達に会わなくなってずいぶん時間が過ぎた。僕に起こったちょっとしたことに戸惑っている間に時間がたって、お互いがどこでなにをしてるのかもわからなくなった。街でぐうぜん見かけたとしても、声を掛けるのをためらうくらいの長い時間だよ。

誰かに話したいことがあるとき、その友達はどうしてるのかなって時々思う。

実を言うと、僕はその友達に話したいことが山ほど出てきちゃうときがある。
こんなに雨がざんざん降っている夜なんかはとくにそうなんだ。


本日の1曲
Mykel And Carli / Weezer


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2006/08/22 『ジェイミーのまほうのはなし


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