THIS IS MUKAI SHUTOKU

先日amazonから『現代の無戒』のDVDが届いた。
スペースシャワーTVの番組「唯我独音」内の向井コーナーをまとめたものに、ZAZEN BOYSの野音のライブ映像がおまけ収録されている。そのライブ映像を目当てに購入。

ZAZEN BOYSのフロントマン、向井秀徳のホームページには『ナンバーガール解散後、向井秀徳が立ち上げたロックバンド。”法被を着たレッド・ツェッペリン”を標榜し、唯一無二のロックサウンドを目指す。』とある。

何を隠そうナンバーガールファンだった。
郷愁を掻きむしるような世界観もさることながら、映像、CDジャケットのアートワークに至るまで、その登場は鮮烈だった。
当時は浪人生風と称されていた向井氏の風貌。チェックのシャツにジーンズ、ジャックパーセル、メガネ。そしてものすごい剣幕。
酒を飲みながら汗だくでライブをやり、最後は決まって「カンパ〜〜イ」といいながらステージを去る。曲間に繰出される独特な口調のMCは絶妙。
何度もライブに足を運び、その度に格好よさに足がすくんだ。

2002年に惜しくもバンドは解散してしまったが、昨年はomoide in my head projectと題して続々と音源や映像集がリリースされた。ベストアルバムにはB面集も収録、未発表のNGテイク集まで発売されたのには驚いた。
今や、ナンバーガールのフォロワーバンドも続々と現れているから、そういう流れで聴く人もいるかもしれない。

初めて聴いたのは1999年の秋『Destruction Baby』のマキシシングル。
瞬時にして引き込まれてしまった。他の楽曲に比べても都会の若者のレイジーな感じがこの4曲に特に顕著に現れていると思う。
生活が味気なくてもなんとなくそれを受け入れている東京の若者のカンジ。地方出身者であるがゆえのトーキョーの風景。
楽しくも寂しくもないような、そんな空気が漂っている。

その出会いの後、程なくして下北沢シェルターでbloodthirsty butchersとのイベント、HARAKIRI KOCORONOを見る。今思えばいきなりすごいもんを見てしまった。

POP、ROCK、DUB、HIPHOP、民謡に至るまでナンバーガールの変遷は興味深いけれど、どんな音にのっけても、歌っていることは変わらないのがすごいところ。
特にたたみかけるようなリリックで向井氏の言語感覚が冴え渡っている。
「TOKYO FREEZE」には度肝を抜かれた。
彼はいつだってこの世の諸行無常を憂う。

昨年末に幕張で行われたカウントダウンジャパンでZAZEN BOYSを初見。
向井氏のライブを見るのはナンバーガールラストツアー『NUM-無常の旅』のZEPP以来なので3年ぶりか。

「マクハリ!時には女とマグワリ!(ニヤリ)」といきなり韻を踏みつつ登場。
すごい。オーディエンスの熱狂。まだライブは始まっていないのにこのテンション。そして変拍子の嵐。
当初ギターのカシオマンを見て不思議な動きをするギタリストだな(頭を振り子のようにカクカクする)と思っていたけれど、ZAZENのリズムが必然的にそうさせているのだと納得。
bass日向氏のアクションが音楽を体現している。この人のプレイスタイルは本当に格好いい。ドラムの松下氏の眼力も他を寄せつけない。

このバンドの「バンド感」がすごい。初ライブにしてあまりの格好よさに呆気にとられてしまった。
向井秀徳は今日もどこかの街角で酩酊しているのだろうか。


本日の1曲
Destruction Baby / NUMBERGIRL


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