The Pillows

毎回のコラムに合わせて音楽をセレクトするのは、いろんなアーティストの音楽を改めて聴くいい機会になる。素直にその日に一番多く聴いた楽曲を選ぶ日もある。大体においては書き始める時には曲が決まっていない。

iTunesのパーティーシャッフルでThe Pillowsの「Funny Bunny」が流れて、それまで快調に記事をタイプしていた手が止まった。そして暫く手を休めてそれに聴き入った。
瞬間的にある種の誠実さが胸を打つことがある。

最初に断っておくと、The Pillowsに関して今現在アルバムを1枚持っているだけでライブも観たことがない。だからもしThe Pillowsファンの方がこれを読んだらその拙さに苦笑いするかもしれない。
ただ、その音楽の誠実さは確実に届いている。TVで、街中で、彼等の曲を耳にする度に。

結成は1989年。「彼等」なんて呼ぶのもはばかられる程である。まだ自分は小学生だった。もしその当時から同じことをずっと歌い続けているとしたら、それほど尊いものは他になかなか見つからない。
そして一度でもその楽曲に触れたことのある人なら、自分が言わんとしていることはわかってもらえると思う。

真剣に音楽で勝負しているのが聴いた瞬間にわかる。そのポップなメロディーと相反するかのような意志の強い歌詞。だから気分が滅入った時ほど聴きたくなる。

君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ 
風の強い日を選んで 走ってきた            
———Funny Bunny

楽曲の印象通り、vo.山中さわお氏がこんなに真っ直ぐに生きているのだとしたら、その生き方は辛くないだろうか。彼は永遠に器用な大人になれないのか。間違ったことにも頷く妥協は本当に必要ないのか。

しかしながら彼は16年もの間The Pillowsというバンドで自らの音楽を鳴らし続けている。その間ずっと音楽と自分自身と向き合ってきたのだ。自分のような若造が簡単に想像できるものではない。その説得力はこちらを黙らせるけれど、おそらく彼は誰かを黙らせるために歌っているのではない。

彼にはロックしかなかったんじゃないか。信じられるものも逃げ込める場所もロックしかなかった。優れたアーティスト達がそうであるように、そうやって彼は孤独を受け入れざるを得なかったのではないか。
だからその音楽は切実で、こんなにも胸を打つ。

時代が望んでも 流されて歌ったりしないぜ 
全てが変わっても 僕は変わらない
———Fools on the planet        

あるバンドはその解散ライブで「たくさんの希望と絶望をありがとう」とオーディエンスに告げてステージを去ったそうだ。
そうして信じた道を必死に生きていこうとする人達が好きだ。

音楽に関しては自分は所詮いちリスナーであるが、誠実な作品には誠実に耳を傾けたいと思う。所詮なりの、敬意を込めて。


本日の1曲
Funny Bunny / The Pillows

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