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ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2006 -count 4 my 8 beat- @千葉LOOK

人気のあるバンドを狭いライブハウスで観る機会はあまり訪れない。今夜は初めて千葉のライブハウスに行った。高円寺からは総武線で行けば乗り換えはないが、1時間以上はかかる。しかし、だ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONをキャパシティー200のライブハウスで観る機会はこれから先あるだろうか?

千葉LOOKは有名なライブハウスで、全国ツアーの日程でよく見かける。同じくらいの規模のライブハウスの下北沢シェルターと、民家が隣接する周辺の環境がどことなく似ている。

入場し、まずは後方に進む。当日券の入場だった為、開演時間に迫っている。程なくして『暗号のワルツ』から演奏がスタートした。しかし後方の我々にはステージが見えず、メンバーが登場したのにも気が付かない有り様で、サウンドチェックだと思ったら本編だった的なスタートだった。
ステージが低いせいでバンドのメンバーからもオーディエンスが見渡せていないようだった。vo,後藤氏は「近いな」を連発し、オーディエンスの人影でメンバーもほとんど見えない。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブを体験するのは3度目だ。昨年のSUMMER SONICとCOUNT DOWN JAPAN。どちらも会場は1万人を超える。もちろん精力的にライブ活動をしているものの、行きたいと思ってチケットを確保できるバンドではない。
今や国内フェスのトリを勤めるようになったバンドでもルーツを辿ればライブハウスに行き着く。彼らがメジャーデビューしたのは3年前、バンドを結成してから今年で10年になるが、その大半はライブハウスでライブを重ねてきたはずだ。

ライブハウスには熱気とエアコンの冷風、そしてその空間を共有している親密な空気が漂う。低い天井を見上げ、揺れる埃を見るとライブハウスを実感できる。
オーディエンスの揺れる肩や腕の合間から時々メンバーの表情が見える。そしてその瞬間にステージが近いことを実感する。フェスならステージと客席のフェンスとの間に収まってしまうだろう狭い空間だ。

昨年の全国ツアーでバンドは驚く程進化した。美しいメロディーと印象的な歌詞を既にものにしている彼らだが、敢えてそこからフレームアウトしようとしている気がする。即興的、感覚的に音を取り入れ、これまで以上に深みに足を踏み入れている。現在の彼らからは美しいメロディーだけを創造するバンドでは終わらない、挑戦の姿勢を感じることができる。難しい楽曲に挑み過ぎて間口を狭めるバンドもいる。しかしASIAN KUNG-FU GENERATIONは決して「聴く人を選ぶ音楽」を目指しているのではない。むしろその逆で、楽曲を敢えて判りやすい方向に落とし込み、独自の世界を展開するのが本当に上手い。

しかしながら個人的感情を抜きにしてASIAN KUNG-FU GENERATIONは語れない。後藤さんとは故郷が同じで、以前から存在を知っていた人である。
作品に込められた感情はとても正直で偽りがない。そして偽りがないだけに、間接的であっても深く相手を理解することができる。存在は知っていても内面は知らなかった。だから知っているのにまったく知らないような、知らないのにすごく知っているような不思議な感覚に捕われてしまう。
人々が拳を上げ、汗をかき、頬を紅潮させている。自分の知らないうちに彼はそんなふうに人々を熱狂させるアーティストになった。その存在感に圧倒されて、ただ呆然としてしまう。

出来るなら自分もそうなりたい。人の生活の何かに影響を与えるような作品を作りたい。目の前の後藤さんは今、まさにそれをやっている。自分が言い訳をしている間にも彼は日々、不特定多数の人々に向けて作品を投げかけ続ける。
音楽に限らず、表現者であるならば作品を共有し、知らない人間の生活の「何か」になることが出来たらと願うはずだ。そして彼の姿を見る度にその可能性を差し出されたような気分になって決まって胸が熱くなる。

今週から始まった「count 4 my 8 beat」ツアーは3か月以上に及ぶ全国ツアーだ。そしてこのツアーが終わる時、またしてもこのバンドは大きな何かを得るのだろうな、とライブ中にそんなことを考えた。日々自分を表現し続け、その何かを人々と共有しながら。それはとんでもなく眩しい光景だった。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONは転がり続ける。ロックの道を、後戻りすることなく。


本日の1曲
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