Weezer “WEEZER FESTIVAL” @東京 国立代々木競技場第一体育館


ホールでドリンクの長い列に並んでいると、スタッフがライブの開始を告げて回っていた。場内に顔を出すと、照明が客席を照らしている。あれ?ライブは始まったんじゃないの?

皆の視線が集中している後方を見ると、voリバースがマイクを持ち、客席の一人一人に名前を聞き『ハジメマシテ。』と丁寧に頭を下げている。この日、ファンと一緒に楽曲を演奏する企画(フーテナニー)が進行していたみたいで、この丁寧なご挨拶が30人分くらい繰り返された。

ほどなくしてセッションが始まり、早くもアンコールのような和やかで不思議な雰囲気が包む。ライブらしからぬ明るい照明と手拍子は、どこかの市民会館のリサイタルみたいだ。ロックのギグとは程遠い。

リバースは『ツヅケテ〜』と「Beverly Hills」を歌いながら言い去ったあと、ようやく反対側のステージに姿を現した。今夜のライブ、波乱の幕開けである。

ここ数年のWeezerは、日本のファンが聴きたい曲を惜しみなく演奏してくれている。この日のセットリストを振り返ると、1stアルバムと2ndアルバムからの楽曲が多いことがわかる。「Pink Triangle」や「Why Bother?」(どちらも2ndアルバム「Pinkerton」収録)、美しいコーラスワークの「Susanne」(シングル「Undone」のB面に収録)まで披露されるとはまったく驚いてしまった!

そしてなんと、半分くらいの曲で、リバース以外のメンバーが楽曲を歌うという異例の事態。いや、その慣れた様子や、オフィシャルサイトで公開されている動画からするに、最近はこのスタイルなのかもしれない。

ステージに座り込み、ボーカルを取らない、ドラムを叩き始める。ポニョの歌詞を口ずさみ、曲の真っ最中に『コノキョク、スキデース』と叫ぶ。終始奔放なパフォーマンスを続けたリバース。まったく、ファンの期待に応えているのか、裏切っているのか!?

この日数少ないちゃんとした演奏(?)「Say It Ain’t So」は、Weezerってこんなに格好良かったっけ?、と思ってしまう。(CD音源を真似て)メンバーへのインタビューから始まった「Undone (The Sweater Song)」など、最初の数音で身体が反応してしまう。

Weezerは自分にとって大切なバンドであるものの、一般的には意外にも知名度が低い。それでいてこれだけのオーディエンスが集まり、ブーイングが起こらないのもすごい。(「Perfect Situation」はリバースに歌って欲しかった気もするけれど)

今回の来日ツアーは本日が最終日となる。MCでそれを告げるとリバースはくるりと後ろを向き、バンドメンバーに「オツカレサマデシタ。」とおじぎをする。打ち上げでもない、ライブ真っ最中に行われたシメの挨拶には笑わずにいられない。(4代目bassの)スコットもバンドに馴染んでいるみたいだし、日本人のワイフのおかげでリバースのニホンゴMCも快調である。

昨年あたりはバンド解散説が飛び交ったこともあった。しかし今年リリースされたアルバムの出来は最高。今はYouTubeを使ってファンと曲を合作したり、フーテナニー企画でファンとセッションするなどの(以前のWeezerではちょっと考えられない)変化も起こっている。バンドは、周囲の心配をよそに楽しんでいるみたいだった。

自分のダメっぷりを歌うWeezerのスタイルは、かつて「泣き虫ロック」と呼ばれていた。
今夜は興奮と笑いが交互にやって来る不思議なライブ。リバースだっていつまでも泣き虫じゃいられない。日本に甘えた男(!)の最高のショウだった。


SETLIST
– Hootenanny –
01. Island in the sun
02. El Scorcho
03. Beverly Hills

04. Dreamin’
05. Dope Nose
06. Pork & Beans
07. Why Bother?
08. Hash Pipe
09. Buddy Holy
10. Creep (Radiohead cover)
11. My name is Jonas
12. Pink Triangle
13. Susanne
14. Undone (The Sweater Song)
15. Keep Fishin’
16. Perfect Situation
17. Say it ain’t so
18. Thought I Knew
19. Troublemaker

– Encore –
20. Automatic
21. Greatest Man That Ever Lived (Variations on a Shaker Hymn)


本日の1曲
Say It Ain’t So / Weezer
youtube-logo


続けて読みたいエントリーたち

2 Responses to “Weezer “WEEZER FESTIVAL” @東京 国立代々木競技場第一体育館”


  1. 1pinkbear

    Life goes on whether or not you are ready…
    リー君(!)は私の人生に確実に影響を与えた人であったけれど、私は彼がこうなることを止めることができなかった。
    みんなが暖かい目で彼の日本語MCを見守る中、私はブーイングでした。でもそんな私の声は届きません。
    見守ってあげることが本当のファンなんでしょうか。
    「Say It Ain’t So」は高校時代から聞いている、私の大好きな曲です。 リー君、私はそのタイトルをそのまま君に問います。
    You became the happy person I never knew. Say it ain’t so…

  2. 2taso

    >pinkbearさん
    確かにまわりでも、この日のライブは賛否両論。
    いや、どちらかというと否が多めかもしれない!

    今までの自分と決別したくて解散して、違うバンドで気分変えようとしても失敗する人もいる中、同じバンドでここまでテンションが変わるのもすごい。
    ちょっとサービスし過ぎ?てくらいのセットリストだったしね。

    「ロックスターは独身であるべき!」という持論は当分持ち続けるだろうな。独り身に共感できる間は。(笑)
    幸せになると曲も雰囲気もがらっと変わっちゃうものね。

Leave a Reply