宙に消えた電気

今月も電気代が1万円を超えた。一人暮らしをしていても真冬と真夏に関してそれは驚く金額でもない。以前住んでいたアパートでは、ある時期の電気代が毎月2万を超えていた。

その金額を親に指摘されるまでまったく気が付かなかった。周りに聞くと「家族で住んでいても2万は高いよ」という人もいたが、部屋を見回してみれば家電製品も多い気がする。
昼夜逆転生活で常につけっぱなしのMacintoshと、運転し続けるエアーコンディショナー。ミュート状態のテレビとステレオの音楽。こんなものなのかなとなんとなく納得していた。

ある日の夜、突然ブレーカーが落ちた。
ソロソロと台所に行き配電盤を見上げると、配線部分がボォっとオレンジ色の光を放っている。よく見るとそこから細い煙が出ていた。これは多分、燃えている。
電力会社に電話を架けるとオペレーター氏は明らかに自分よりも動揺している。『け、煙ですか!』

電気がない、というのは想像以上に困った事態だった。真っ暗な部屋では思いのほか何も出来ない。言い換えればすることが何もない。青白い月明かりの元、ベッドに腰かけアイスティーを飲む。
真夏の夜の21時過ぎ。それまでの部屋の騒音が突然絶えた。

沈黙。
パチパチと音をたてる配電盤に目をやる。

ネコ氏をキャリーバックに押し込みアパートの外に出た。足元に置いたバックの中で彼は不服そうである。柵にもたれかかって通りを見下ろしながら車両の到着を待つ。
1時間ほどして電力氏が到着し、配電盤を交換してもらう。新しい配電盤は以前のものよりもひと回り小さく、明るくなった部屋にその跡がやけに目立った。

何に対して2万円を払い続けていたのだろう?


本日の1曲
Blue Light / Bloc Party


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