ポタリング・トーキョー 〜雨上がりの和田堀公園編〜



公園に到着し、自転車をひきながら歩いていると、斜面になった緑地で3匹の猫が日向ぼっこをしている。猫の姿を見たら近寄らないわけにはいかない。警戒心の強い野良猫には大抵逃げられてしまうけれど、今日はなんだか勝手が違うみたいだ。

こちらの姿を認めると、猫たちは自ら斜面を降りてきた。傍らの自転車にすり寄って、しゃがみ込めば肩に手を置いてくる。至極フレンドリーな奴等だった。猫たちの写真を撮ろうと立ち上がると一緒についてきて、なかなかシャッターが切れないほどだった。
遊歩道を通りかかる人々は猫たちに声を掛けていく。人々は猫たちを好き勝手な名前で呼んで、”会話”をしている。
『人なつこいんですね。』と言うとおじさん氏はにこにこと頷き、そのうちの一匹の頭を撫でながら『オマエ、風邪ひいたんじゃねぇか?』と猫氏に問いかけていた。

高円寺駅前通を南下し、青梅街道を渡る。五日市街道を西へ走り、住宅街を抜けると和田堀公園に到着する。善福寺川に沿って細長い緑道が続き、我が家からは自転車で15分くらいの距離である。

愛想の良い猫たちに一時別れを告げ、園内を散策する。売店の入り口から奥を窺うと、奥に釣堀が見えた。建物横に回ると10人くらいがのんびりと釣り糸を垂れていて、時折子供のはしゃぐ声が聞こえた。

午前中の雨でたっぷり水を吸った真っ黒な土壌は、日光に照らされてきらきらと光っている。足元は落ち葉が重なり合ってかさかさと音を立てる。空は薄い水色の冬の空で、花の香りに振り向くと梅の花が咲いていた。
ベンチでスケッチをするご老人、キャッチボールをする子供達。ご婦人はものすごく大きなカゴをつけた自転車を止めて、子供を遊ばせている。園内を散歩するたくさんの犬にもすれ違った。そんな風景を見ていると、近所に住んでいる人がちょっと羨ましくなった。

帰りがけに先程の猫たちの所に寄ってみると、まだ猫たちはそこにいた。すぐ前を自転車で走っていたおじさん氏も自転車を止めて猫たちに挨拶をしてから公園を出て行った。公園の入り口に住むこの猫たちは、有名なのだろう。
先程の猫たちの点呼をとっていると一匹が見あたらなかったが、見ると電話ボックスの中で眠っていた。

公園を出ると自転車のタイヤにはびっしりと泥がついていた。考えてみればこの自転車のタイヤに泥がついたのは今日が初めてかもしれない。


本日の1曲
虹の午後に / サニーデイ・サービス


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