リクルート

大学3年の夏頃から学内で企業説明会が行われ始めた。就職活動に意欲的な学生は内定獲得のための活動を開始する。
当時は慢性的無気力状態が続き、説明会の告知に目を通しもせず、虚ろな日々を過ごしていた。就職のチャンスは今しかないというのは十分わかっていたつもりだった。

その頃新しい校舎が堂々と完成し、1階に就職課ができた。数十台のマッキントッシュが並び、棚には毎日のように求人情報のチラシが追加された。そこには全国各地の求人情報が掲載されていた。2000年当時は”就職氷河期”などと言われていたが、毎日追加される膨大な求人情報を見ると、そんなの嘘みたいに思えた。
「その気になれば」就職出来る。しかしその気になれないまま時は過ぎ、求人のピークは過ぎていった。

就職をしないことを堂々と宣言する勇気もなく、他の学生たちと同じように大学生向けの就職支援サイトに登録をした。企業の多くはインターネットによるエントリーを受け付けていた。
希望の職種を登録しておくと、ほぼ毎日求人の情報が続々と送られてきたが、やがてそのメールに目を通すのも面倒になっていった。

内定が決定した学生はサービスを解除していく。年が明けた頃には学生を励ますような文言が増えていった。解除すら面倒で登録は暫くそのままになっていた。そのうち単位不足で卒業保留の知らせが来た。実質的な留年勧告に実家の家族は騒然としていた。

大学4年が終わる3月は必死にアルバイトを探した。わずか6単位を補填する授業は週に一日しかなかった。
暫くしてWebデザイナーの仕事と、キャドオペレーターの仕事が見つかった。Webデザインにもキャドにも知識はなかったが、あっさりと働ける環境は用意された。何故その時その仕事を断り、親の仕送りを食いつぶしていたのだろう。留年の身分で街をふらついていた。

就職できない理由は自分にある。能力のある人だけが就職出来るわけではない。まずは就職活動が出来る人にならなければいけないんだろう。一度乗り損なうと軌道修正には時間がかかる。


本日の1曲
Middle Of Nowhere / ELLEGARDEN


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