6年後のハーレム



今ニューヨークのハーレム地区は何度目かの大きな変化を迎えているようだ。今年の春には一部の地区計画基準が40年以上振りに改訂され、19階建てまでのビルが建築可能になったらしい。ちなみに「前回取材時(2002年)に改装中だった『アポロ劇場』は、お色直しを終え小ぎれいに」なったそうだ。

10月号のEsquireに目を通していると[The American Way]というコラムが目についた。ページの上部には見覚えのある表紙写真が掲載されている。そのニューヨーク特集は美しい写真と共に、ハーレム地区の移り変わりをレポートした印象的な特集だった。
そして最新号のコラムで、2002年にハーレムを取材した筆者は、ささやかな続報を伝えた。

この部屋の本棚には沢山の雑誌のバックナンバーが収納されている。もちろん、発売日から時間が経てば情報は古くなってしまう。
この建物はまだあるのか、このデリカデッセンはまだ営業しているのか、 少し前の雑誌を眺めながらそう思うこともある。

テクノロジーやタウン情報など、日々進化する分野の情報はインターネットで知ればいい。遥かなる土地の現在も、きっと誰かがインターネット上に情報を発信している。なにしろ、一度印刷されてしまった情報は「上書き」も「再編集」もできないのだ。

最新の情報が知りたければ、雑誌は情報源としてインターネットに敵うまい。
__ だって紙の情報は古いでしょう?
いつの間にかそんな価値観が定着し、情報の種類によって媒体を使い分けていることに気付く。だから、そのたった一行の報告に自分でも意外なほど驚いてしまったのだ。

同じ人間から、数年後の同じ雑誌で。余談程度にさりげなく伝えられたその一文は、まるで友人から報告を受け取ったかのような親密さを感じさせた。

(ところでこの[The American Way]を読んだ人の中に、前回のハーレムの記事を覚えている人はどれだけいたんだろう?)


本日の1曲
Ask Me Anything / The Strokes


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