意外にモテない男

深夜番組を見ていたら若い芸人コンビが出演していた。雑誌で見かけたことはあるが、動いて喋っているところは初めて見た気がする。
彼らはいわゆる「売れっ子」である。あまりテレビを見なくなってからたった1年余りで、テレビ業界も世代交代した様子だ。その芸人が民放で人気を振りまいている間も長くその存在すら知らなかった。新番組の司会を任されたらしい若い芸人は慣れた様子で場をしきっていた。

インターネットで調べると彼らのうちのひとりのBlogに辿り着いた。添付された写真にはマンションの自室でくつろぐ彼の姿が写っている。写真を見る限り結構広そうだ。最近広い部屋に引っ越したのかもしれない。綺麗に片付けられた部屋に、デザイナーズ風の白いソファ。彼が最近購入した白いノートパソコンは『インテリアともよく合うのでお気に入り』だという。

文章を読むと彼の日課は「掃除」であるようだった。彼は毎日フローリングの床を磨き、知人が来るとモノの定位置が変わるのが気になって仕方がないという。文章は幾分コミカルに書かれていたが、最早彼が神経質な男であることに疑いは無い。

昔、ある女友達は意中の彼の自宅に招かれた。床に座った彼女がポテトチップスの袋を開けた途端、彼はおもむろにブルーシートをバサバサと広げだしたという。花見をする気なのだろうか。言うまでもないが彼は神経質な男で、ごく自然にその行動をとった。
彼女は仕方なくその上に座りポテトチップスを食した。きっと、味もわからなかったろう。彼はスナック菓子を食べるたびにシートを広げるのだろうか。ブルーシートがすぐに出てくるのにも驚くけれど。

台所に運んだコップをすかさず水につける。
大小さまざまあるリモコンの端を揃える。
灰皿の付近のタバコの灰を指先で集め、灰皿の上でゴニョゴニョする。

もちろん全ての女性が神経質な男性が嫌いというわけではないだろう。しかし神経質な男達が普段当然のようにやっている仕草が、何割かの女性を閉口させているのも事実である。
ポテトチップスの彼女はそれ以来、彼の部屋には行っていないらしい。彼は何故その日から彼女の好意的な視線が止んでしまったのかわからないだろう。
テレビの芸人を見つめてそんなエピソードを思い出した。売れっ子の彼も意外にモテないのかもしれない。


本日の1曲
Teenage Dandyism / DOPING PANDA


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