The Pillows “Wake up! Tour” @Zepp Tokyo

開場時間に到着していたおかげで、今夜はフロントエリアに潜り込むことができた。メンバーが登場するやいなや、後方から人々がなだれ込む。

開演前に携帯を触って時間を潰したり、友人と談笑していた人々が熱っぽいライブオーディエンスへと変わる瞬間でもある。みるみるうちにフロントエリアに熱気が立ち込めてスルスルと汗が滴り落ちてくる。ライブが終了すると、摩擦でポロシャツが毛玉だらけになっていた。

6月から始まった「Wake up! Tour」もZepp Tokyoのこの2日間で幕を閉じる。追加公演を含む全25公演。6月の渋谷クアトロ、7月のO-EASTに続き、その1日目のライブに参戦することが出来た。

メンバーの平均年齢は40を越えるというのに、会場には学生らしき若者も多い。都内のライブハウスでは最大級のキャパシティを持つZepp Tokyoも、今夜は当日券の発売すらない完全SOLD OUTとなった。
これまで大勢に受け入れられることをどこか拒んでいたかのように思える彼らが、ファンに求められてたどり着いた場所。『オッサンになればなるほど売れていくThe Pillows。』と山中氏は笑っている。

中盤で披露された “Swanky Street” は忙しい朝に聴くことが多い。朝、これから始まる自分の一日を想像して、ウンザリする時だってある。

僕らは間違いながら 何度も傷ついたけど
信号が何色でも ブレーキなんて踏まない
壊れてもいいんだ

ぼんやりと朝の煙草なんかを吸いながら “Swanky Street” を聴くと(かなわねぇなぁ・・・)と思う。同じような感情に頷き、楽曲に共感していたとしても、自分から逃げなかった人間の強い意志にはかなわない。

The Pillowsの楽曲は音楽に身を捧げる並々ならぬ覚悟を感じさせる。少なくとも自分にはそう聞こえて、毎日を嫌がるなら飛び込む覚悟はあるか?と自分に問う。今夜、大音量で演奏される “Swanky Street” はそんなしがない自分の日常とシンクロした。

終盤、突如巨大なバスター君がステージに現れた。「バスター君」はTシャツやタオル、CDジャケットの裏やミュージックビデオにも頻繁に登場するファンにはお馴染みのThe Pillowsのバンドキャラクターなのだ。”Ride on shooting star” では音楽に合わせてその巨体がゆらゆらと揺れ、笑顔と共に会場が沸き返った。

『9年前に “LITTLE BUSTERS” って曲を作ったときから、いつかイントロででかいバスターを出したいって思ってたんだよ!』曰く、舞台裏では『バスター君の担当とは思えないほど』ガラの悪い人達が人力で操っているとのこと。

さわお氏の歌う「君」は恋愛相手への君ではなく、バンドのメンバー達に向けられているのではないかと思う時がある。The Pillowsの楽曲の魅力はそんなバンドソングにあると思っていて、これまでもメンバーに向けられた絶対的な信頼をさわお氏は楽曲に込めてきた。それは愛情や友情に近くて、少し違う感情だと思う。

男同士の友情を描いた映画『スケアクロウ』はThe Pillowsの楽曲のタイトルにもなった。作品中では、友情の誓いの証として3度握手が交わされるらしい。

『オレ達は握手した記憶がないなと思ってたんだけど・・・、そういえば15周年のライブの時に、ステージ上で握手したんだよな。』オーディエンスは、ライブDVDにも収録されている当のシーンを回想していたのだろう、頷いている人も多かった。

『俺たちに誓いや約束は必要なかったんだ。同じとこを目指してたのがわかってたから。』いつになく強い口調のMCに会場中が一瞬静まり返る。その後演奏された ”スケアクロウ” はいつも以上に特別な響きをもたらしたように思う。

The Pillowsのライブはいつも、楽曲に共感する半面、圧倒的な存在の違いを見せ付けられるような感覚が襲う。今夜、真正面に山中さわおを見据えながらその静かな凄みに釘付けとなった。
『いい夜じゃねえか!』
ライブの終盤になると山中氏が吐く言葉。無論こちらにとってもThe Pillowsの音楽があってよかった、と感じさせる「いい夜」だった。

SETLIST

01.Wake up! dodo
02.Skinny Blues
03.I know you
04.Dead Stock Paradise
05.プロポーズ
06.空中レジスター
07.Ladybird girl
08.シリアス・プラン
09.プライベート・キングダム
10.つよがり
11.Swanky Street
12.MY FOOT
13.Black Sheep
14.BOAT HOUSE
15.GIRLS DON’T CRY
16.その未来は今
17.サードアイ
18.Century Creepers(Voice of the Proteus)
19.プレジャー・ソング
20.LITTLE BUSTERS
21.YOUNGSTER(Kent Arrow)
22.ROCK’N’ROLL SINNERS
-Encore-
23.Ride on shooting star
24.スケアクロウ
25.Sweet Baggy Days
-Encore2-
26.ハイブリッド レインボウ


本日の1曲
Swanky Street / The Pillows


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>>connection archive >>
2007/08/15 『The Pillows 〜SUMMER SONIC 07〜 @Island Stage
2007/07/23 『The Pillows “Wake up! Tour” @渋谷 O-EAST
2007/06/13 『The Pillows “Wake up! Tour” @渋谷 CLUB QUATTRO
2006/12/16 『The Pillows TOUR “LOSTMAN GO TO CITY” @SHIBUYA-AX
2006/09/07 『The Pillows 〜音楽と人 presents Music & People EXTRA 2!〜 @STUDIO COAST
2006/02/13 『The Pillows


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