FUJI ROCKのOMOIDE

今年で10回目を迎えるFUJI ROCK FESTIVALが今年も新潟県の苗場スキー場で開催される。
97年の富士天神山スキー場でその歴史は幕を開けた。後に「嵐の天神山」「伝説のフジロック」などと呼ばれることになる。当日の嵐は人命に危険を及ぼすほど猛烈で、会場の様は伝説的にデカダンだった。よって公演は途中で中止を余儀なくされた。

当時大学1年生で静岡の実家に帰省中だった。当日は呑気に麦藁帽子をかぶっている友人と鈍行列車で御殿場に向かっていた。しかし、御殿場駅に到着するとバスロータリーの職員にフェスの中止を知らされた。

当日のweb上では「来ないでください!」とフェス主催者にあるまじき悲痛なメッセージが随時アップされていたらしい。写真を見ると参加者は頭からゴミ袋を被り雨風に耐え、鉄骨のステージは今にも崩れそうな様相であった。
御殿場駅で、これ以上は会場に近づけないことがわかるとトボトボと帰りの列車に乗り込み、なぜか静岡で下車し映画館で「もののけ姫」を観た。Green DayとWeezerに思いを馳せながら真っ直ぐ帰るのはあまりにもやりきれなかった。

翌98年は豊洲の東京ベイサイドスクエアで開催され、99年からは現在の苗場スキー場に開催地を移した。そして2003年FUJI ROCKに初参戦した。
真夏の3日間に国内外のアーティストが苗場に集結する。動員数は各日3万人に登り、ステージの数は大小合わせると10を超える。チケットの券種もそれぞれの1日券、前2日、後2日、3日通し券と用意されていたが、この年初めてチケットがソールドアウトした。

03年は元Smashing PumpkinsのBilly Corgan率いるZWANの出演が決定していた。行くなら今年だと確信していたのだが、その個人的ヘッドライナーZWANはその後出演をキャンセル、秋には解散を発表した。同年3月の新宿リキッドルームがZWANの最初で最後の来日公演となってしまった。あのライブに行ってよかった。もうきっとあんなに近くでBillyは観られない。

しかし一度上がってしまったテンションは収まりがきかず、どうする?行く?どうする?・・・行くか!と3日間通しチケットを購入し新幹線で苗場へ向かった。
3日間のうち2日間は雨に見舞われた。沖縄そばを雨の中突っ立って食らうが、一向にスープが減らない。屋根があるところは人だかりが出来ていて常にずぶ濡れの状態だ。着ているTシャツを絞ると止めどなくしたたる雨水。そんな雨具らしい雨具を持ってこなかった自分に、優しい友人が差し出した黄色いポンチョ。我ながらよく似合っていた。

各国からやってくるアーティスト達にもFUJI ROCKの評判は上々だ。このフェスティバルで復活、解散というバンドもいて、アーティスト達にとっても特別なイベントであることがうかがえる。国内の野外フェスの草分け的存在であり、毎年の出演者のラインナップはこちらを唸らせる。しかしなんと言ってもその環境が魅力の要因になっているのは間違いなさそうだ。

一番大きなグリーンステージ前は芝生が続き、昼間にはそのスペースで寝転がってステージを眺めることが出来る。地面は土あるいは芝生で、コンクリートでは無い。膨大な敷地では隣のステージに移動するのにも結構な時間がかかる。参加者はタイムテーブルと相談しつつお目当てのアーティストのステージへ向かう、そして時には走る!
キャンプサイトも併設され、テントを張って宿泊することも出来る。もちろん簡易浴場や、手洗い場も完備されている。(もっとも、この時期の苗場で宿を確保できるのはラッキーな人たちだけだ)
昼間から夜にかけてのライブパフォーマンスだけでない。深夜から朝にかけてはDJプレイが続く。明日に備えて寝たい人は寝る、踊りたい人は朝まで踊り続けるのだ。

会場にはボランティア氏の姿も多く見られ、ゴミの収集活動も盛んに行われている。もはや名物となっている屋台の数々もこちらを飽きさせない。川で水浴びをする人達や、スキー場のゴンドラで山の頂上を散策する人、キッズランドでは小さい子供達が遊んでいる。FUJI ROCKだからこそ、その楽しみ方はたくさんある。FUJI ROCKを巡る環境は年々進化しているみたいだ。

ポンチョ姿で踊りまくったThe Music、苗場のトワイライトに映えるColdplay、雨が降りしきるグリーンステージを舞うBjork。その演奏中ホワイトステージの騒音がうるさいな、と思ったらそれはIggy Popだった。なんて贅沢な空間なんだろう!そして混雑を避けるため早めに乗り込んだシャトルバスの中で聴こえたUnderworldのBorn Slippy。(自分の計画性が仇になる好例である)

そして昨日、2006年の第一段出演アーティストがFUJI ROCKERS ORGにてすっぱ抜き発表された。実質的な第一弾発表でRed Hot Chili Peppersの文字に早くも胸が高鳴った。


本日の1曲
Declarations Of Faith / Zwan


——————————-
>>connection archive >>
2006/08/07 『FUJIROCK道 〜グッバイ・サンキュー!編〜
2006/08/06 『Red Hot Chili Peppers @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/08/05 『FUJIROCK道 〜0時を過ぎても!編〜
2006/08/04 『FUJIROCK道 〜滑降覚悟のテントライフ編〜
2006/08/03 『FUJIROCK道 〜騒いでも騒がなくてもハングリー編〜
2006/08/03 『ASIAN KUNG-FU GENERATION @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/08/02 『FUJIROCK道 〜魅惑のエンバイロメント編〜
2006/08/01 『ストレイテナー @FUJI ROCK FESTIVAL2006
2006/07/31 『FUJIROCK道 〜ハロー苗場!高速移動編〜』 
2006/07/27 『FUJIROCK道 〜出発直前!いざ苗場編〜』 
2006/07/10 『FUJIROCK道 〜ライブのお供にゃクエン酸編〜
2006/06/08 『FUJIROCK道 〜夏嫌いインドア人間の決意編〜
2006/06/04 『FUJIROCK道 〜冷静を装う週末編〜
2006/02/28 『FUJI ROCKのOMOIDE


続けて読みたいエントリーたち

0 Responses to “FUJI ROCKのOMOIDE”


  1. No Comments

Leave a Reply