Archive for the '黄昏コラム' Category

指先は雄弁に語る

高校生のいとこと初めて携帯メールのやりとりをした時、そこには矢印やら小文字のひらがなやらが氾濫していた。彼女の言わんとしていることは何となく理解できる(もっともたいした用件ではなかった)のだが、それは初めて自分の携帯にギャル語メールが届いた衝撃的な日であった。

知人氏がホームページを開設したという。映画鑑賞の好きな彼は映画評を書いているらしい。
「この映画ゎ ヘゥ”ィ→でした」という表現は批評には不向きなのではないか。最早作品を冒涜しているとしか思えない。30になろうかというこの男の薄ら寒さをどう表現したらよいのだろう?

満員電車に乗っていると他人の携帯の液晶が見えてしまうことがある。その日も後頭部が鼻につく程接近した若いOL嬢がメールに勤しんでいた。彼女は器用な指さばきで本文を作成し、ひっきりなしに誰かとメールを交わしている。ギュウギュウの状況でよくぞメールなんかが出来るものだと感心してしまう。

文中に踊る大袈裟な顔文字や感嘆符を見る限りでは、彼女は何かに興奮しているようだ。どこに行っても売り切れだったバッグがキャンセル待ちで買えた、とか1口買ったNUMBERSが1万円になった、とか。そういう類いの興奮を連想させる。

しかしメールを作成している本人はしかめっ面で無表情。そこに興奮した雰囲気は皆無である。本文と本人のテンションのギャップはなんだろうか。こちらが戸惑っている間もOL嬢の指先は雄弁に語り続けている。

顔文字やギャル文字を駆使したメールは感覚的に視界をかすめるに過ぎない。人々は感情表現に躍起になっている。感情豊かなメッセージを送信する為にいくらデコレーションしてみても、中身を伴わないその言語には想像の余地が無い。

ある友人氏はほとんど感情の起伏が感じられないメールを送ってくる。彼女は顔文字も感嘆符も、句読点すら使わないことがある。
聞くと知人達によく「メールの文章が素っ気ない」と言われるそうだ。そんな無愛想なメールでも、相手の感情を読み取ることができるのは、長年の付き合いが成せる業である。


本日の1曲
Instant Music / The Pillows


若き文系夫の悩み

『高いチケット代を払って飛行機に乗り、毎年史上最多の人々が海外へ旅立つ。乗車率が100%を超えた新幹線に乗り、故郷を目指す。人でごった返した空港や駅の映像がテレビに映し出される。上空からは途切れることのない渋滞の列。ゴールデンウィーク。

皆が一斉に休みを取る連休だから混雑するのは仕方がない。あらかじめ休日前提で組み込まれているその週間に焦点を合わせて皆が計画を立てている。
連休の日数を危惧し、正月が明ければもうゴールデンウィークの話をする。

街は混雑しているし、レストランに入るのにもいつもの倍の時間がかかる。観光地に出掛ければ土産物に群がる人々。ありふれた饅頭やクッキーに観光地のシンボルが入った粗悪な土産は、外出の証明か。

しかし連休中どこにも連れて行かなかったらうちの子供も形見が狭い。来週になったら連休中の出来事を学校で報告し合うはずだ。そういえばこの間友達の家が立派なテントとバーベキューセットを買ったと羨ましそうに言っていた。
バーベキュー?片付けも面倒だし、第一うちには車も無い。

この時期になると決まって同僚に連休の予定を聞かれる。数少ない部下さえもだ。大勢の家族持ちは実家に帰省し、旅行に出掛ける。それが伝統的なゴールデンウィークの過ごし方なのだ。
職場の連中にも家族円満をアピールできる絶好のチャンスだ。いつもは貰ってばかりの土産物も配ることが出来る。
しかし、ゴールデンウィークは一切のアクティビティーを奪う。

世間がせわしなく動いているのならゆっくりと自分の時間を過ごしたい。音楽を聴いたり、映画を観たり、読みかけの本も何冊かあるし、まだ手を付けていない全集もある。
テレビを消して好きな時間に食事をして白々と明ける街を散歩したい。』


という若い文系夫の悩みを想像。


本日の1曲
There there / Radiohead


デンタルケアの目覚め

最近歯磨きが好きになった。朝昼晩3度。職場でも歯を磨く。特に食事をしなくても歯を磨かないと気が済まない。
そして最近デンタルフロスに目覚めてしまった。

歯を磨いた後にデンタルフロスを使用すると非常にすっきりする。実は歯ブラシのブラッシングだけでは歯垢の50%〜70%程度までしか除去できないといわれているが、歯ブラシとデンタルフロスの併用で口の中のプラーク(歯垢や細菌)を90〜95%除去することができる。そのため虫歯・歯周病などの口内疾病を防ぐ効果は絶大だ。



そしてデンタルフロスには色々なタイプがある。柄の付いた「糸ようじ型」、糸を指に巻き付けて使う「デンタルフロス型」、歯の間にブラシを突っ込む「歯間ブラシ型」など。
糸ようじは初心者にも使いやすいし、デンタルフロスは携帯に便利だ。歯間ブラシは上級者向けと言えるかもしれないが、サイズ展開が豊富で初めて購入する人に向けてサイズ交換の無料サービスを行っているメーカーもある。

この間薬局に立ち寄った際に、その種類の豊富さに驚いた。デンタルケア熱は日本にも根付き始めたようだ。それらの商品を眺めて職場用にデンタルフロスの購入を思いつく。
しかし職場の洗面所で歯間ブラシをするのはいかがなものか。歯磨きですら少し抵抗があるくらいなのに、歯間ブラシはレベルが高すぎるのではないか。鏡に向かって必死にプラークと戦う様は他人には不愉快に映るだろう。それに第一見られたら恥ずかしい。めくるめく自意識が邪魔をして、その日は購入を見送った。

毎晩の歯間掃除はいつの間にか習慣になっていた。自宅にいなくても、食事の後はどうしても歯間を掃除したい欲に駆られてしまう。今日はたまらずドラッグストアに駆け込み、歯間ブラシを購入した。
トイレに行くと思いの外混んでいる。やむなく個室に入る。便座に腰かけ、鏡を片手に歯間掃除にいそしむ。個室で何をやってるんだか、と少し飽きれるが、そのリフレッシュ効果は絶大でやみつきになってしまった。


本日の1曲
No One Else / Weezer


マニファクチュア(失敗)

キャノン製プリンタ、pixus 990iを買った時、あまりの高性能さに驚いた。印刷位置がずれることもないし、写真プリントは驚きの鮮明さだ。「ピコリットル」(1兆分の1リットル)という細かさでインクの粒が噴出しているらしい。プリントした写真をまじまじと眺めると家庭で印刷したものとは思えない仕上がりだ。

このプリンターを買う前は「アルプス産業」のプリンターを使っていた。
当時、大学に入学したてでまたコンピューター関連の知識は皆無に等しかった。予備校の講師氏が「写真プリントするならアルプスがいいよォ」とアドバイスをくれたのだ。夜のコンビニの駐車場で、彼なりの真面目な助言に購入を決めた。

当時アルプスのプリンターは人気があった。CMYK4色のインクカセットを使用するため、液状インクに比べて劣化が少なく、水で滲むこともない。
しかし、手入れを怠ったり、カセットの残りが少なくなってくると醜いテープのラインが浮き出てしまう。印刷位置がずれることは日常茶飯事でそのズレを計算して用紙をセットしなければならなかった。画質も満足のいくものではない。

新しいキャノンのプリンタを購入してからというものプリント作業が楽しくなった。1枚にかかる印刷時間も驚く程早い。
そして本日は思いつきで写真集を製本してみることにした。
以前画材店で購入したスケッチブックを切り離し、A4サイズに裁断。画用紙のつぶにもムラなくインクがのり、写真の雰囲気にも合っている。

プリントした原稿を裁ちしろでカットし、背を製本用の糊で接着する。カッターで切り込みを入れ、歯ブラシを使ってボンドを塗り込む。強度を高める為には専門的な道具が必要なのかもしれないが、今回は思いつきで始めてしまったので部屋にあるもので間に合わせる。
やはり冊子にまとめると見栄えが良い。表紙のデザインも自分でやった為愛着が湧いてくる。

背表紙部分を撫でながら糊を乾燥させるために窓際に冊子を立てかける。
洗い物を終えて乾燥具合をチェックするため、冊子をめくると一瞬にしてインクが滲んでしまった。
・・・・・・・(絶句)。
友人氏のポートレイトの額の部分には醜いシミが広がっていた。すぐに印刷をし直そうと思い立つが、同じ印刷をしたのではわずか数滴でできたシミをふせぐことはできないだろう。その後冊子を見ないように視界の外へ追いやる。作業終了。

1色1000円近くするインクを6色使用しているため、インクの交換にもお金がかかる。今回の作業の為にインクを買い足したが徒労だった。最初から店に頼んでレーザープリントするべきだったのだ。
失敗に終わったとはいえ、こういうマニファクチュアは良いアドレナリンが放出する。


本日の1曲
GIRL FRIEND / Base Ball Bear


キルフェボン、夢のワンホール。

出身地である静岡の名物は、お茶、わさび漬け、ウナギパイ、みかん。これらは実家に帰れば溢れかえっているし、最早なんの有り難みもない。しかしひげ奴の塩辛とキルフェボン(Quil fait bon)のタルトは帰省したら真っ先に食べたい静岡の名産である。

まだ静岡に住んでいた高校生の頃、両親とのお出かけの際にキルフェボンに入店。当時はまだ狭い路地にひっそりと店舗があり、ポットに入った紅茶やコーヒーが無料で提供されていた。その後丸井静岡店にも店が出来、現在では青葉通り(静岡市のミニ表参道)に店舗をかまえている。

ちょっと固いくらいのタルト生地と甘過ぎないクリーム、そして大胆に果物が乗っている。タルトを食べているというよりフルーツを食べている感覚に近い。
我が家の父親は豪快にタルトを購入する。こちらの不安をヨソに「全種類1つずつ」買う。核家族だということを忘れているのだろうか。その為に翌朝の朝食・昼食がタルトになる。
しかしながら異なる種類の色鮮やかなタルトがワンホールを形成しているのはなかなか素敵な眺めであった。ブルーベリーのタルト(写真左上)は個人的定番。

受験で東京に上京している時、宿泊しているホテルにその「ワンホール」が届いた。お気持ちは非常に嬉しかったのだけど、これをどうやって食べろと言うのか。やむなく受験勉強を途中で諦め、代わりにタルトを詰め込んで会場に向かった。

正月に静岡に帰省した際に青葉通り店に初めて入店。正月の3日だというのに店内は人々でごった返していた。店内中央には大きなショウケースが鎮座し、人々は皆カラフルなタルトを愉しんでいる。フランス語がプリントされた黄色い箱は当時から変わっていない。

キルフェボンは近年東京に進出。銀座・青山・代官山・二子玉川に店舗をオープンし、大盛況のようだ。
静岡発のキルフェボンのタルト。あのおいしさは全国区だと思う。


本日の1曲
A Movie Script Ending / Death Cab For Cutie



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<追記>
キルフェボン的タルトを求めていたら、高円寺にもおいしいタルト店を発見した。北口にある「ノアパパ」という小さなお店。店舗が狭すぎて商品ケースと大型冷蔵庫の間に店員さんが立っている状態である。
ある日、近くの沖縄居酒屋「抱瓶」に行った帰り道、0時だというのに店に列ができていた。オリジナルのケーキのオーダーも受け付けてくれる。
都市型ケーキショップ「ノアパパ」は高円寺駅北口2分、0時半まで営業中。


ギターデビュー未遂

活躍するミュージシャンが全て音楽的に早熟なわけではない。しかし大体は10代後半にはギターを手にしているだろう。音楽的な目覚めは中学あたりで訪れ、高校生になるとより実践的に、そう、ギターの練習をしてバンドを組んだりする。

実は昔ギターを買ったことがある。新品で12万円のレスポールとローランドのアンプ。少し親にお金を出してもらって買ったギターは「レモンドロップ」という色名通り、美しい木目の艶やかな黄金色をしていた。
当時親しくしていた友人氏の家に入り浸り、コードを覚えた。最初に弾いたのはThe Beatlesの”Please Please Me”だった。KISSやQUEENを愛聴し、上達の早い友人氏はEric Claptonを弾いた。

しかし程なくしてギター熱はあっさりと醒めてしまった。大金をはたいて買ったギターもその友人氏の家に置きっぱなしのまま10年以上が経過している。考えれば考える程ギターがもったいなくなるのであまり考えないようにしている。

幼い頃はピアノを習っていた。街の音楽教室に通い、自宅では先生ごっこでピアノの宿題を父親に押し付け、大いに厭がられた。
ピアノの発表会が開催された時、一緒に教室に通う「おともだち」はタキシードやかわいいドレスを着ていたが、その時何故か自分は着物で「おてもやん」を踊らされた。自宅のオーディオで「おてもやん」のレコードをかけながら踊りの練習をしたのを覚えている。

今思えば「楽器は向いていないヨ」という啓示だったのかもしれない。その後ピアノにもギターにも挫折。全う出来たのは小学校のブラスバンドのシンバルくらいなものだ。

楽器を使って自らの音楽を奏でるのは夢の話だ。束の間のギターいじりで思い出せるものと言えば、ずっしりとしたギターの重さと、Fの壁と、弦の張り替えの面倒くささくらいなものである。

今は洋楽、邦楽を分け隔てなく聴くようになった。部屋にいる時は常に音楽を流している。テレビの画面を見ることよりもオーディオのスイッチを入れてCDを聴いていることが多い。
CDに飽きるとiPodをシャッフルさせて2000曲をかき混ぜている。そしてそれらの素晴らしい音楽を聴く度に、楽器が出来たなら・・・と仮定してみたりする。


本日の1曲
Detroit Rock City / KISS


The World of GOLDEN EGGS

ある日MTVを見ていると、コマーシャルで見慣れたアニメーションが流れている。しかもコマーシャルより長い。画面を見入ると、それはコマーシャルではなく新番組であるようだった。
The World of GOLDEN EGGS』はMTVで毎回15分間放送されているアニメ番組だ。確か食事の支度をしようと思っていた時だったと思う。ちょっと見るつもりがだんだんのめり込み画面を凝視していた。

「見慣れたコマーシャル」とはノートPC(NEC LaVie A)のコマーシャルである(写真)。以前から頻繁に放送されていてなんのキャラクターなのかわからないまま気になっていた。
2人のガールズがイケてるPCを持っているガールに嫉妬し『あんたのマユゲもかわいくなーい?』『欲張りなマユゲぇ』『つーかマユゲ関係ないジャン!』と、どこまでも脈絡のない会話を繰り広げる。しかも明らかに男性の声である。(CMは民放局でも放送されていると思っていたのだけど、周りに聞くとあまり見た人はいない様子)

架空の街ターキーズヒルでのある種どうでもいいエピソードが繰り返される。しかしそのキャラクターの個性とガタガタの3Dのせいで忘れられない作品になってしまった。

初回に見た『家庭教師ミシェル』はファンの間でも人気のエピソードである。レベッカの家にフランス語家庭教師ミシェルがやって来る。しかし発音がフランス語っぽいだけで実際には英語と日本語がほとんど。ベタ過ぎる展開から目が離せなくなる。
ミシェルは鼻にかかった発音で「・・・コロワァッサァハン(クロワッサン)」と感情たっぷりにレクチャーする。そのうちクロワッサンは「クロカワさん」に変化し「黒川さんて誰!?」と言いながらもそのペースで延々と授業は続き、レベッカは「またワタシ、自分磨いた!?」と悦に入っている。

ずっと海外アニメに日本人が音声をつけたのだと思っていたけれど、どうやら日本で製作されたアニメのようだ。間の取り方やノリツッコミは日本的な笑いなのだろうか。随所にいかんなく発揮されている笑いの要素で飽きさせない。もっとも、一回に15分の放送であるからこちらがニヤついている間に放送は終わってしまう。


インターネット上を検索しても製作者などの詳細はあまり明らかではないところも不思議だ。MTVのサイトでは海外番組の扱いになっているし、一体どうなっているのやら。
amazonでDVDも購入し、すっかりファンになってしまったが、この作品を言葉で説明するのはかなり難しい。


本日の1曲
Bob / NoFX


風邪の日

考えてみればここ一週間程は随分無防備な格好で就寝していたように思う。寝るつもりはないのに寝てしまう日々だった。そして不覚にも風邪をひいてしまった。
(風邪くらいでナンダヨ)と思われるかもしれないが、一人暮らしの病気は心細い。一人暮らしであるためにあらゆる面倒をひとりでこなさなければならないのだ。

以前肝炎を煩った時、フラフラの状態で原付きにまたがりヨロヨロと病院に向かった。浪人している時は極度の貧血状態に陥り、数カ月間フラフラのままで過ごさざるを得なかった。祖母が上京し、優しい友人氏達が見舞いに訪れてくれた。そしてその一件から実家からの仕送りが増えた。(しめしめ)

日曜は久々の体調不良に悩まされ、ひとりでベッドをのたうち回っていた。頭痛と吐き気が襲い、起き上がるのも困難だ。普段から頭痛薬を頻繁に服用しているがどの引き出しを開けても薬が見つからない。要するに薬が切れていた。それが判るとなんだか一気に頭痛が増したような気がする。時刻は0時近くで薬屋は閉店しているし、薬を売っているコンビニを探そうと思ったがそんな気力はない。
(こりゃ、明日の仕事は無理だァ・・・)と思う。そしていつの間にか就寝。

しかし翌朝早起きしてしまい、シャワーまで浴びてスッキリ。なんだァ、意外と元気なのネ、と短絡的思考で出社した。しかし午後になり、昨夜のだるさが蘇ってきたために早退。よく会社に行けたもんだと自分を誉める。

昨夜のメニューはおじやと浅漬けとパブロン顆粒。薬が見つからなかった我が家で唯一見つけたパブロンはびっくりする程まずい。
そして本日は久々の欠勤。雷鳴轟く高円寺にて療養中。


本日の1曲
風の日 / ELLEGARDEN


RECライフ

昨年夏ケーブルテレビに加入したのをきっかけにHD(ハードディスク)レコーダーを購入した。ケーブルテレビでは音楽ファン垂涎映像が放送されている。もちろんそれまではビデオデッキを使用していたのだけど、ある日ビデオテープが飲み込まれたまま放置されていた。録画も再生も出来ないまま、時間は過ぎる。そして毎回、MTVやSPACE SHOWER TVの番組を記録したい欲に駆られる。欲に駆られても録画ツールがない。最早、HDレコーダーを買わない理由は無い。ヨシ。

そして数週間後、我が家にHDレコーダーがやってきた。容量は200GB。簡単に言うと250時間の映像が保存できる装置だ。確か35000円くらいで購入。おまけに使わなくなったビデオデッキも3000円で引き取ってもらえて満足である。

HDレコーダーは録画する際にメディアが要らない。これまでのようにアッ!と思ってビデオテープをガシャガシャと掻き回し、剥がれたポストイットがどのテープについていたものかわからなくなることも無い。2重取りの悲劇を生み出すことも無いし、ツメを折った部分にセロテープを貼っつけるような面倒なイベントからも解放される。思い立ったら電源を入れ、録画ボタンを押すだけだ。
録画した映像はサムネイル付きで一覧表示され、どこに何があるのかわからない状態に陥らない。

その他にも便利な機能が満載である。例えばあらかじめ「料理」というキーワードを入力しておけば料理関係の番組は全て録画しておいてくれるし、録画予約画面には随時最新の番組情報が表示される。一日に何度かレコーダー氏は勝手にウィーンと稼働し、自動的に番組情報を獲得するためだ。
しかし我が家はケーブルテレビをアナログで視聴している為、実はこれらの機能を利用することが出来ない。ケーブル加入後から地上波をほとんど見ない生活が続いているので実質不要なのだ。

それを差し引いたとしても充分便利である。たまった映像を編集してDVDディスクにダビングしラベル印刷をすればオリジナルディスクが完成する。
ライブ映像や、ミュージックビデオを編集したDVDを焼き、ラベルのデザイン作業をやり始めると熱中して時間があっという間に過ぎてしまう。これまではプリンタ購入時にバンドルされていた間に合わせのソフトを使っていたけれど、近々ラベル印刷ソフトを購入しようと思っているくらいだ。

本日は友人氏に渡すための、DVDのダビング作業をしていた。これまでの幾多の買い物でもっとも後悔が無いiPodに続く、買っても損はないプロダクトと言える。


本日の1曲
ブラックアウト / ASIAN KUNG-FU GENERATION


コリアンタウン

大久保通りをタクシーで進み「ソウルハウス」に到着。今夜は韓国料理を食べに大久保にやってきた。
昨年秋に初めて入店した際、友人氏の静止を振り切って恐ろしい量の注文をしてしまい、脳天まで韓国料理に埋もれながら歩いた帰り道。食べ過ぎで吐こうか迷った初めての経験であった。

今夜は3度目の入店だ。もう適量を知っているから大丈夫。我々の間で定番となった春雨の炒め物や、味噌をつけたレタスに包む肉、それすなわちプルコギなどを食らう。そしてのけぞる旨さで虜になってしまった「カムジャタン」は絶対に無視できない。東京で出会った旨いもんベスト5にはランクインする。

カムジャタンとは豚の骨付き肉を辛みのあるスープで煮込んだジャガイモ鍋だ。ゴツゴツした骨が大盛りの鍋が運ばれ、卓上で更に煮る。このスープがすこぶるおいしい。
骨についた柔らかい肉を箸でつついて食べる。食べ終わった骨をボウルに投げ込みながら、スープを飲む。色はどぎついが決して辛過ぎず、まろやかである。できれば水筒に入れて持ち帰りたいくらいおいしい。

その帰り道、韓流スターに夢中の知人の奥様氏にお土産を買うことにした。23時過ぎであったがまだ店は開いている。店内には実に様々なグッズが陳列され、蛍光灯に照らされた幾多のプロマイドに見入る。

しかし、ここで問題が勃発。そのスターの名前は知っているものの、我々はよく顔を知らなかった。それにどうも似たような顔立ちのスター達は見分けがつかない。

「違っててもわかんないヨ・・・フフ」と不適に笑う友人氏に一抹の不安を覚える。「これじゃない?」「違うだろ、それ!」という問答を繰り返しながら店内を巡回し、韓国スターの顔が織り込まれた靴下の存在に人知れず驚愕する。

そしてどうみてもイリーガルな匂いのするブツ達を購入。雑誌の切り抜きを集めた写真集(のようなもの)や我が家のエンゲル係数と対峙しつつ毎日スターの顔が拝める画期的アイテム、家計簿などを贈答することにした。

大久保はいわゆるコリアン・タウンで街中にはハングルが溢れている。そして近年訪れた「韓流ブーム」で街は一層賑わいを増している。理髪店の軒先でもプロマイドやポスターが売られている。街をあげての便乗っぷりに驚くことなかれ。その節操のなさがこの街の魅力である。


本日の1曲
Everything Needs Love Vocals by BoA / Mondo Grosso